乳歯

太田葵

乳歯

京短ネプリvol.3に寄稿した、7首連作「乳歯」です。


乳歯



生えそむる歯をいかにして守らむやふうふうとして粥をやる母


花筏だつたところをそぞろに見ゆ鴨は流れて一度目が合ふ


水黽の波紋 会話の輪に入らず私の薄墨色の雀斑


飛行機に空夏めける真夏日の宙を蹴るその趾やはらかき


雨粒は風の速さに押しやられ濡らしつ喃語の子供のつむじ


雪明かり少し眩しく窓硝子には掴みえぬ結晶たちが


始まりの心は白い花でなく苔が水辺とある清らなり



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乳歯 太田葵 @gay_pika2093

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