第8話 教室抜け出したら二人だけの文化祭が始まる予感 (ギリギリ焦らしver.)


(教室のざわめき。クラスの喧騒と笑い声)


「──うわっ、人多っ! 文化祭ってマジでこんな盛り上がると?

 ねぇ見て、装飾めっちゃ映えとるやん! ……って、ウチが昨日まで頑張ったとこやし!」

(少しドヤって)

「どー? 今日のウチ、制服にリボンも変えてきたっちゃけど。映えとるやろ?」


(主人公の反応に間)


「……“普通”って!? はぁ!? それ褒め言葉なっちゃん!

 素直に“かわいい”って言えばよかやん。……ほら、今ちょっと照れた♡」



(客のざわめき。「いらっしゃいませ〜!」と声を合わせる)


「いらっしゃいませ〜! ……やば、声張るのマジ恥ずかしいんやけど!

 え、あんた普通にやっとるやん!? ……ちょ、営業スマイル出とる! バリ笑う!

 てかウチら、息ぴったりやん! ……ほら、クラスのやつらに冷やかされとるし!」


(遠くでクラスメイト「二人めっちゃお似合い〜!」と声をかける)


「うっさい! 黙れっちゃ! ……ん〜……あー恥ずかしい。

 (小声で)……でも、悪い気はせんかも。」



(喧騒から少し遠ざかる足音)


「ふぅ……ちょっと休憩しよ。人多すぎてバリ疲れる。

 ……ウチほんとは人混み苦手なんよ。大きい声張るのもしんどくて。

 でも……あんたと一緒やったけん、なんとかやれたんかも。」


(廊下の足音。人混みが遠ざかる)


「……気づいたらまた二人で歩いとるやん。ウケる〜!

 でもさ、やっぱ落ち着くんよね。

 (耳元で小声)……ほら、人多いけん、もっと寄っときなよ。」



(ドアを開けて風が吹き抜ける音。静かな空間に)


「ほら、ここなら誰もおらん。静かやろ?

 ……ちょっとサボりっぽいけど、たまにはよかやん。」


(耳元で囁き)

「……二人やけん、特別なんよ。」


(少し間。風の音。主人公がゆっくりと近づく気配)


「……ん? ちょ、待って……近っ……。

 ……なんでそんな顔するん……? 目、そらせんやん……。」

(壁際へ追い詰められるように)

「……やば……これ、キスされる距離やん。

 ……心臓バクバクで、声出せん……。

 (吐息混じりで)……ほんとにされたら……ウチ、逃げられんよ?」


(少し間。互いの息づかいだけ)


「……ずるいよ、そんな真剣な顔……。

 ウチまで、本気で期待してまうやん……。」



(衣擦れ。手が触れる音)


「……ねぇ。これでまた一つ、ウチの宝もん増えたっちゃ♡」



(遠くでクラスのざわめきが近づく)


「……やば、そろそろ戻らんと怪しまれる。

 (小声で)でも、放課後……また二人でおろうね♡

 ……これ、絶対内緒やけん。」


(足音が戻り、教室のざわめきに紛れてフェードアウト)

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