③
俺がそう思っていると、おばあさんが俺を促すように言う。
「ほら、学校に戻らないとマズイんじゃないのかい?先生」
俺はおばあさんの言葉を聞くと、ハッとして「失礼しました!」と勢い良くその場を後にした。
それにしても…俺、あの店に入ったの初めてだけど、教師をやってるなんて言ったっけ?
見た目でわかった…とかか?
…………
しかし、その後。
急いで学校に戻ると、俺は職員室で教頭先生に雷を落とされた。
「何をやってたんですか
「……すみません」
いや、そうは言っても俺は腕時計を修理に出していただけだし、体感としては15分ほどしか経っていない。
だいたい、あの雑貨屋のばあさんが三時間も時間を早めたりするから……。
なんて心の中で文句を並べていると、再び物凄い勢いで教頭先生が言った。
「聞いてるんですか安達先生!!」
「は、はい!」
「まったく、普段真面目にやってると思ってたらすぐこれですから。信用できませんね、近頃の若いモンは!」
そう言うと、「午後から授業をサボった理由を、明日生徒達にきちんと説明して下さいね!」と続けて厳しい顔をする。
一方、そんな教頭先生を前にして、俺はただただ謝ることしかできない。
くそっ…本当はこんな展開になるはずじゃなかったのに。
俺はそう思うと、このあと仕事が終わり次第再びあの雑貨屋に出向くことにした。
…………
「っ、オイばあさん!」
その後本当に再び雑貨屋に出向いた俺は、空が暗くなってから雑貨屋に向かった。
三時間も時間が急激に早まったせいで、ついさっきまで三時間も残業をしていたのである。
そのせいで怒りが心頭していた俺は、店のドアを開けるなり声を荒げた。
すると、店の奥にいたおばあさんが俺の態度を目の当たりにして、「どうしたんだい」と驚いたような顔をする。
どうしたんだい、じゃないだろ!
「アンタが昼間あの変な時計で三時間も時間を早めたせいでな、こっちは今日えらい目にあったんだよ。どうしてくれるんだ!」
俺が半ば興奮気味にそう言うと、それを聞いたおばあさんが目を丸めたまま言う。
「それはそれは…大変だったねぇ」
そんなおばあさんの呑気な態度に俺が更に怒りを覚えたその直後、俺が言おうとしていた言葉を遮るように、おばあさんが落ち着いた口調で言った。
「だったら時間を戻せばいいじゃないか」
「!」
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