恋に恋する小学生

ムーゴット

『卒業旅行はサイクリングで』第12.5話 恋に恋する

サイクリングの途中のコンビニ休憩は、

貴重なトイレタイムでもある。

おかあさんは、

緊急事態でパチンコ店を利用した事があると言っていたが、

小学生では無理だよね。


個室から出たら、かすみちゃんが鏡の前にいた。

リップを直している。

そういえば、かすみちゃんの今日のリップには、

淡い色がついている。


「オレンジ色、かわいいね。」


「でしょでしょ!このあいだドンチで買ったんだ。」

「つけてみる?」


「ぅーん、それは遠慮しとく。似合わないもん。」


「そんなことないと思うよー。」


ひと呼吸おいて、かすみちゃんは小さな声で爆弾発言。

「ねぇ、莉奈りなってさぁ、武佐士むさしのこと、好きでしょ?」


「ぇえぇええぇぇ!」


「やっぱり!」


「違うよぉ、どうして、やっぱり!になるの?」


「だって、その狼狽うろたえぶり!好きなんでしょ?」


「違うよ。武佐士むさしくんは、友達だもん。」


「友達から恋人になるのよ、きっと中学生になると。」


「そんなことないよ。

それにこうやってみんなで遊んでいる方が楽しいもん。」


「ふーん。莉奈りな晴子はるこさんは親友だと思ってたのになぁ。」

「腹を割って話をしてくれると思ったのに。」


かすみ 晴子はるこちゃんは、

自分のことを下の名前に「さん」付けで自称する。

小学6年生にもなって、恥ずかしいと思うところでもあるが、

憎めないんだよね。


腹を割ってと言われても、

結局のところ、自分でもよくわからない。


「ちょっとウザいよ。」

ワザとほっぺを膨らませて、かすみちゃんを威嚇いかくする。

かすみちゃんこそ、好きな人いないの?」


晴子はるこさんは、まだ恋に恋しているだけだから。」


「それ卑怯ひきょう。腹を割っていない答え。」


フフフフ!なぜか笑顔でトイレを後にする二人。


「トイレ長いよぉ、これだから女子わぁ!」

駆け込もうとする雷人らいとくん。


「おまえは、裏の林ですればよかったのに。」

かすみちゃん、言い過ぎ。


「うるさい、変態!デリカシーのないヤツ!」

雷人らいとくんもぉー。





『恋に恋している』って、どういうこと?

「ユキちゃん、教えて。」

スマホのAIアプリに聞いてみる。


結構長い回答の文章にかれていく。


まとめ、によれば、

『相手に夢中になるのではなく、

恋をしている自分に夢中になっていること。』


「そうか、私のことかも。」





「そろそろ出発するよー。」

武佐士むさしくんがリーダーシップを取る。


一年生の時は、私の方が背が高かったのに。

大きくなったよね。

あれ、なんか、何だか、イケメンになったよね。


もう、かすみちゃんが変なこと言うから、

意識しちゃうじゃない。






『卒業旅行はサイクリングで』本編は下記リンクから。


https://kakuyomu.jp/works/16818622175553661864






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