第2話 新婚旅行と新生活

• プロローグ

• 第1章 新婚旅行(2026年・沖縄)

• 第2章 新生活の始まり(2DKの部屋)

• 第3章 妊娠の報せ

• エピローグ


第二部 第1章 新婚旅行(沖縄2026年)


飛行機が沖縄の青い空の下に降り立つと、夢羽は思わず深呼吸した。

海の香り、温かい風、太陽の光――すべてが心地よく、普段の生活の疲れや不安がふっと消えていくようだった。


「夢羽、ほら、見て。この海の色」

玲央の指先に目を向けると、透き通るエメラルドグリーンの海が広がっていた。


「わあ…本当に綺麗…」

夢羽は笑顔で応える。体調のこともあって不安もあったけれど、今はただ、目の前の景色と彼の存在に集中できた。


二人だけの時間。

朝はゆっくりと目覚め、海沿いを散歩。

昼は地元の料理を楽しみ、夜は星空を眺めながら静かに語らう。


「こうして二人でいる時間、ずっと続けばいいのに」

夢羽が小さく呟くと、玲央は彼女をそっと抱き寄せた。


「これからも、ずっと一緒だよ」


ホテルの窓から見える波の音が、二人の心に安らぎを与えてくれる。

旅行中、夢羽は普段の生活や体調のことを忘れ、ただ玲央と過ごす時間に身を委ねた。


新婚旅行は、二人にとって「日常の延長線上の非日常」だった。

小さな喧嘩も、心配も、すべてこの穏やかな時間の中で溶けていくようだった。


──この旅が終わっても、二人の生活はまだまだ始まったばかり。

だけど、夢羽は確信していた。

玲央となら、どんな未来も乗り越えられる、と。



第二部 第2章 結婚後の生活(別居婚・半同棲)


新婚旅行から戻った二人は、2DKの新居での生活を始めた。

片方の部屋は二人の寝室、もう片方は夢羽の仕事場。

完全同棲ではないけれど、生活の多くは共有していて――半同棲の形がちょうど心地よかった。


朝は夢羽が先に起きて仕事の準備をする。

玲央はまだ眠そうに布団で伸びをしながら、コーヒーの香りに目を覚ます。


「おはよう、玲央」

「おはよう、夢羽。今日も一緒に朝ごはん食べる?」


仕事場に籠りきりにならないよう、玲央も時々部屋に顔を出す。

二人で食事をしたり、掃除や洗濯の小さな家事を分担したり、距離感を大切にしながら生活していた。


仕事で疲れた夢羽が休むと、玲央はそっと背中に手を置き、肩を揉む。

「大丈夫?無理しないでね」

「うん…ありがとう」


半同棲の暮らしは、距離と安心がちょうど良かった。

玲央は夢羽の体調を気遣いつつ、自分の生活リズムも守る。

夢羽も、仕事と私生活のメリハリを保ちながら、玲央と過ごす時間を大切にできた。


夜になると、二人は寝室で一緒に過ごす。

寝る前の小さな会話や、日中の出来事の報告、冗談を言い合う時間は、二人の絆を少しずつ深めていった。


──この生活が、二人の新しい日常の始まり。

完全に一緒に住むわけではないけれど、互いの存在を肌で感じられるこの距離が、夢羽には安心で、幸せだった。


そして、二人はまだ知らない。

この生活の中で、少しずつ妊娠という新たな試練と喜びが訪れることを。



第二部 第3章 妊娠・家族計画


ある日の朝、夢羽は体の変化に気づいた。

吐き気、眠気、胸の張り――これまでと少し違う感覚に、胸が高鳴る。


「玲央…ちょっと…」

夢羽は手を震わせながら、妊娠検査薬を差し出す。


玲央は一瞬言葉を失ったが、すぐに優しく手を握った。

「夢羽…本当だね?」

「うん…赤ちゃんが…」


喜びと不安が入り混じる。

体調のこと、仕事のこと、これからの生活のこと――夢羽は考えずにはいられなかった。


「大丈夫だよ。俺がそばにいる」

玲央の言葉に、夢羽は涙をこらえながら頷く。

二人は静かに抱き合い、未来に思いを馳せた。


妊娠初期は、夢羽の体調管理が中心となった。

仕事場での無理を避け、睡眠を確保し、食事や休息にも気を遣う。

玲央は毎日、家事を手伝い、夜には肩を揉んだり、水を差し入れたりして支えた。


「こんなに大事にしてもらえるなんて…」

夢羽は心から思った。

過去の傷や不安があっても、彼となら未来に希望を持てる――そう確信できた瞬間だった。


二人は少しずつ、赤ちゃんを迎える準備を進める。

寝室の一角にベビーベッドを置き、名前や性別、生活のイメージを話す時間も増えていった。


──妊娠は、二人にとって新たな試練であり、喜びだった。

二人で支え合い、助け合う日々の中で、家族としての絆は確実に強まっていった。



第三部 第1章 出産(帝王切開・彼の立ち会い)


手術室の明るい照明が、夢羽の瞳に反射する。

心臓の鼓動が速くなる。

体は緊張と不安でこわばり、手術台に横たわると自然と息が浅くなる。


「夢羽、大丈夫だよ。俺がそばにいる」

玲央の手が、手術台の横でしっかりと夢羽の手を握る。

その温かさに、夢羽は少しだけ安心する。


医師や看護師が手際よく準備を進め、麻酔が効いていく。

夢羽の意識は半分、恐怖に縛られながらも、玲央の声で支えられる。


「ゆっくり息をして…大丈夫、すぐ会えるよ」

玲央は声を抑え、夢羽の手を握り続ける。

緊張と不安の空気が張り詰め、手術室の中は静まり返っていた。


「では始めます」

医師の声とともに、夢羽の視界に少しずつ動きが映る。

手術中の冷たい器具の感覚、微かな痛み、心臓の高鳴り。

夢羽は小さく息を呑み、玲央の手をぎゅっと握り返す。


「もうすぐだ…もうすぐ赤ちゃんに会える」

玲央の声が、夢羽の緊張を少しずつ解きほぐす。


そして、産声が聞こえた瞬間、夢羽の目に涙が溢れる。

「生まれた…!」

玲央も思わず声を上げ、喜びの涙を流す。


小さな命が二人の前に抱かれ、夢羽の胸に乗せられた。

震える手で赤ちゃんを撫で、玲央はそっと頬を寄せる。

「よく頑張ったね、夢羽…二人でこれから育てていこう」


手術室の緊張、麻酔の感覚、医師たちの指示――すべてが夢羽の記憶に刻まれる。

でも、それ以上に強く残るのは、玲央の優しさと、赤ちゃんの温かさだった。


──命が生まれる瞬間、恐怖も不安もすべて、二人で乗り越えられる。

夢羽はそう確信した。



第三部 第2章 育児・家族の日常


赤ちゃんの泣き声で、夢羽は朝の眠気も吹き飛ぶ。

「うう…また夜中に泣いたのね」

でも、隣に立つ玲央の笑顔を見ると、不思議と心が落ち着く。


授乳やおむつ替え、体調管理――育児は想像以上に忙しい。

夢羽は無理せず休むことを意識し、仕事のペースも調整する。

玲央はできる限り家事や育児を手伝い、二人で生活を回していく。


「今日は俺が赤ちゃんのお風呂担当だ」

「ありがとう…頼りにしてる」

夢羽は小さく微笑む。短い言葉だけれど、二人の信頼と絆が確かにそこにあった。


日中は仕事場に籠る夢羽を、玲央が静かに支える。

赤ちゃんの世話で忙しいけれど、二人で時間をシェアし、互いを気遣う日々。

疲れた夜には、二人で赤ちゃんを挟んで寝室に横になり、静かな時間を過ごす。


半同棲の距離感は、この生活にちょうどいいバランスを生んだ。

お互いの生活リズムを尊重しながら、必要な時にはしっかり支え合う――

それが夢羽にとっても、玲央にとっても、安心できる形だった。


ある日、夢羽は赤ちゃんを抱きながらつぶやいた。

「生きててよかった…こんなに幸せな毎日が来るなんて思わなかった」

玲央はそっと彼女の肩を抱き、赤ちゃんの頭を撫でる。

「俺もだよ。これからもずっと一緒に、家族で歩んでいこう」


赤ちゃんとの日々は、笑顔と小さな困難が入り混じる。

でも、二人で支え合い、互いを信じる気持ちがある限り、どんな困難も乗り越えられる。


──こうして、夢羽と玲央、そして赤ちゃんの新しい生活が、穏やかに、でも確かに紡がれていくのだった。

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