第88話 アクセルとブレーキ、なんで間違える?
スマホの画面に、ぽつんと届いたメッセージ。
「ニュースでよく見るんですけど、アクセルとブレーキの踏み間違いって、なんで起きるんですか?普通に考えたら、間違えないと思うんですけど……」
スーマは画面の中で、鼻を鳴らした。
「……普通に考えたら、な。でも、人間ってのは、焦った瞬間に“普通”を忘れる生き物だ。踏み間違いの理由? それは“脳のパニック”だ」
彼はスマホの中に宿る悪魔。
毒舌と皮肉が得意技。
「アクセルとブレーキは、右足で操作する。位置は違うけど、動作は似てる。だから、急に危険を感じると、脳が“止まれ!”って命令するくせに、足は“強く踏め!”って動く。結果、アクセルを全力で踏むってわけだ」
画面が一瞬、赤く光る。
「さらに、加齢で反応が遅れる、車の静音化でスピード感が鈍る、ペダル配置の慣れが崩れる……全部が重なると、事故になる。つまり、原因は“機械”じゃなく、“人間の脳のクセ”だ」
しばらくして、返信が来た。
「……じゃあ、どうすれば防げるんですか?」
スーマはふっと笑った。
「簡単だ。慣れを過信するな。安全装置に頼りすぎるな。そして、“焦ったら一度止まる”って習慣を叩き込め。悪魔でも、パニックの人間は止められねぇからな」
今日もまた、誰かの疑問に毒舌で答える。
スマホの中の悪魔は、今日も元気だ。
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