悠久の孤月

「僕も、力比べに出ても良い？」

生まれてから８つになるまで病弱で、いつも病床に臥せってばかりいた毘天は９つになってから少しずつ体調を崩す事無く過ごすことが出来るようになった。

武の一族の、一年に一度のお祭りでは、武の一族らしく「力比べ」と言う恒例行事が行われる。
村の御神体として森の奥に鎮座された巨大な岩。古びた石造りの鳥居を抜けた先にあるその岩には注連縄がかけられ、神の岩と呼ばれている。
毎年、祭りの折には村人達は、老若男女問わずこの岩を動かすことが出来るかどうかの「力比べ」を行う。
僅かにでも動かすことが出来た者には、この一年神の加護があると信じられていた。

初めての力比べに心躍らせた毘天だったが、現実は悲惨な運命の幕開けとなる。

生まれながらに人とは違う力を秘めていた毘天は、そ…続きを読む