男の勉強、女の勉強、する?

「ちょっと陽太ってば、陽太の方こそ落ち着いてよ!そこでジュースでも飲んで話をしようよ」


俺は落ち着いてるだろ!

いや落ち着いていないのか。


悠斗の事を『お前』なんて言ってしまうくらいには動揺していたな。お前呼びした事が気になってしまう。誰かをそんな風に呼ぶなんて初めてだった。どうしよう。怒ってないかな。



落ち着こう。


それにこのまま手を引いて自習室にでも行ったら余計に噂になってしまうな。


俺達は中庭にある自販機でジュースを買い、近くのベンチに座った。


悠斗は苺みるくなんて可愛いのを飲んでいる。両手で缶を持って飲むなんて、可愛いかよ!

命令はドギツイのに。


俺はギョーザおでんスープ缶だ。

ここの自販機は訳わからなくて好きだな。


うん、旨い。細切れのワンタンと挽き肉がギョーザっぽさを出していて和風出汁のスープが…


「僕は陽太が何を怒っているのか分からないよ」


「分からないって、女の子を裸にする事だよ。そんなのダメだろ?」


「え?本気で言ってるの?普通でしょ。陽太だって特別警護官を選ぶ時に裸にしたでしょ?」


悠斗が言うにはこうだ!


性欲が無く女性が怖い男性が特別警護官を選ぶのはイコール結婚相手を選ぶ事らしい。


辛い射精を少しでも和らげるように見た目の好みで決めるようだ。若い人からお年を召した人までいるらしい。


確かに俺の時も合法ロリみたいな人も居たな。


最終面接ではお互い裸になり抱き合うとか。

俺はミニスカで胸の開いた服で来てもらい真理に決めたけど。そういえばあの時も他の候補者も含めて皆脱ごうとしていたっけ。


そしてそれは学園でも一般社会でも意味は同じだという。


この世界の女性は人工授精で妊娠して女児を産む、男児を産む可能性があるのは直接子種をもらった女性だけ。

男児を産めば手厚い保障があり一生困らないとか。


男性に裸を見られるというのはワンチャン結婚まであり、そうで無くとも子種をもらえるチャンスなのだ。


「アレ?もしかして俺はB組の子のチャンスを潰したのか?」


俺何かやっちゃいましたか?状態とはこの事だな。


「そうなるね。陽太は少し他の男と違うよね?」


「違う?」


「最初に会った時から違ってたよ。少し一般的な性欲男子の勉強をしようか?する?」


「する!」


「普通、一発ヤッたら女の子から気持ちなんて離れていくものなの。それなのに陽太は隣に置いてるしヤッた後なのに愛おしい目で見てたよね?すごく変に映ったよ僕の目には」


悠斗から一発ヤるなんて言葉が出るなんて。

これが普通なのか?


「それに僕が帰った後にもう一発ヤッたでしょ?あれも普通なら無いから!ヤるなら違う子を呼ぶんだよ。僕だって同じ子に二回なんて無理かな」


なんで二回戦があったの知ってるんだ?


ああ、声か。


今度は静かにするように言っておかないとな。


えっ!俺の声なの?俺のがデカかったのか?


後ろで警備しているいつもの警備員に視線を送ればウンウンと頷かれた。


そうか、俺の声か…



「あと、催眠アプリも嘘でしょ?」


「え?」


「コーヒー淹れたり太ももに顔挟んだり、あんなの催眠なんて掛けなくても命令すればいい事だし。どうせB組の子に僕ともう一度仲良くしたいとか頼まれたんでしょ?B組の子も催眠掛かって無いよね」


俺の渾身の命令があんな事…

嘘催眠バレてるし…


「そ、そうだな、良く分かったな…あはは」


そこからはまさに陽キャのエロ話だった。


B組のあの子が一番おっぱいが大きい、顔が可愛いのはあの子、陽太もB組の子とヤリたい?ヤるのは僕が捨てた子にしてね!僕はA組の子には手を出さないよ。などなど。


俺は後半ほとんど相づちを打つ事しか出来なかった。


こいつ女の子を捨てるとか平気で言うんだな。


仲良くなれないのかもしれない。

でもこれが普通の男子の考えなのか…



「もう一時間目が始まるね。そういう事だから明日は邪魔しないでよね」


邪魔か…


「分かったけど一つ約束してくれ。女の子のパンツだけは履かせたままにしてあげてくれ。全裸にする、それだけはやっぱり納得出来ない」


「分かったよ。陽太には感謝してるんだ。約束するね。あと陽太の言ってるハーレムと女の子の考えてるハーレムは違うと思うよ。すれ違いが起きる前に確認した方がいいかな。陽太は女の子の勉強もした方がいい」


そうなのか?

そうなんだろうな。


認識の擦り合わせか。




「先生!一時間目の授業を俺にください!女の子の勉強をしたいんです。・・・それじゃあ、俺が最初の命令で『お互い全裸で抱きしめ合いたい』と言っていたらどうしてた?」



「「「そんなの決まってる♡脱ぐわ♡」」」


やっぱりそうなんだ…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る