命令「私達とキスしなさい」「しないよ、でも」
「おはよう」
ガヤガヤとした教室で挨拶を返してくれる子はいなかった。
それもそのはず、教室の一画に人だかりが出来ていて千春が全員に囲まれている。
亜実が囲まれていないのは不思議だ。
「ねぇ?何かあったんでしょ?」
「あの公園に行ったのよね?」
「キスした?したんでしょ?」
「えへへ♡すき♡」
「「「もう!さっきから話にならない!」」」
質問攻めにあう千春の顔はキスを思いだしてでもいるのだろうか、蕩けていて返事もろくにしていない。
「あっ!ヨータおはよう♡おはようのキスは?」
「「「おはようのキス!?」」」
「しないよ」
「なんでよ、お休みのキスはしてくれたのに♡」
「「「キスしたの!?きゃぁ」」」
「なら催眠アプリで命令するね。私とキスして」
「「「私達とでしょ!千春!」」」
やっぱ仲いいな。
だが、断る!
「しないよ。俺は妄想陰キャだから色々妄想するんだ、ファーストキスだって夜景見ながらしたいとか。それを千春が叶えてくれて嬉しかった」
「「「……」」」
「だから簡単にキスするのは勿体ないだろ!皆の理想のキス、妄想してるキスを教えて欲しい。だってそんなの絶対エッチじゃん!俺が叶えてあげるから教えて、お願い」
「ねぇ亜実も妄想したりする?もしかして部活の後にもうキスしてたりして~」
「ふん♡キスなど、あっ…」
亜実と二人『あっ』という表情のまま見つめ合い固まってしまった。
そういえばキスしてなかったな。
亜実は肌を重ねたからといって馴れ馴れしくするつもりは無いと言っていた。
重い女にはなりたくないらしい。
周りにも言っていないのだろう。
彼女から言いふらさないなら俺がわざわざ言うものでもない。
そんな中、理想のキスを教えてくれる子が現れた。
「はい、はい、はい!なら私は屋上のベンチで肩を抱かれながらしたい!今から行きたい!」
この子は催眠で襲おうとした子だ。
なんて素敵なシチュエーションだ!
「で、本当は?どんなキスがしたいの?正直に話さないとしてあげないよ」
この子がそんな少女漫画みたいなキスを妄想する訳がないだろ!
ほら、ほら正直に話してみなさい。
「あの~、引かない?なら、陽太君が催眠アプリを使う前、まだ打ち解ける前に戻って嫌がる陽太君にキスしたい!ダメかな?」
キター!そういうのだよ!
「ダメなんて言わないよ。そういうエッチなのが聞きたいの!どうする?今からしてみる?」
「いいの?」
「いいよ、俺は嫌がる振りをするからガンガン来てね♡じゃあ始めるね…ちょっと!近いですよ!離れてください!」
「え?これ、いいのよね?ごくり♪」
「止めてください!何しようとしてるんですか!帰ります、通してください」
「通す訳ないでしょ。ドン♪はぁはぁ♡」
壁ドンで興奮するんだ。
ちゅ~っ♡
「ちょっと!ん゛ん゛、ぷはっ、そんな…初めてだったのに」
「ごめん無理、抑えられない。ちゅっ♡ちゅっ♡れろっ、れぇろぉ♡」
「「「舌入れてる♡」」」
「私もしてないのに、ズルい」
そうだよね、でも最初の子がここまでしたから後の子はやりやすくなったんじゃないか?
ファーストペンギン的な。
「入れていいのは、入れられる覚悟のあるやつだけだよね?れぇろ♡」
「え?あん♡くはぁん♡らめ~いっくぅ♡」
相手の舌をなぞり、上顎を軽く舐めると膝から崩れ落ちてしまった。
キスマークを付けた時も思ったけど、この世界の子って感じ易いよね?
亜実もすぐ濡れるみたいだし(本人は汗をかいてると言っているが)イキやすい。
他の子の妄想もエッチだった。
バックハグからのキスの妄想が多かった。
バックハグから優しいキス、顎クイキス、激しいキス。
俺がされる側だったけど。
体育倉庫でマットに押し倒され、両手を上にあげ拘束されてのキスは興奮した。M気質なのかもしれない。
これも俺がされる側だったが。
俺から小声で「キスして♡」と耳元でおねだりするのも好評だった。抑えられないくらいムラムラするようだ。
観覧車乗ってキス。
映画館で恋愛映画見ながらキス。
これは警護官付きだったが放課後デートぽくてよかった。
「千春はおはようのチュウでいいのか?」
「えへへ♡ちゅっ、すき♡」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます