夢の中の約束 ~夢で彼女と過ごした日々を絶対に忘れない~

にぃ

第1話 夢の中の美少女

「またこの夢かぁ」


「なんでも生み出せる面白い世界」(手のひらに熊のぬいぐるみを生み出す)


//SE ひょこ、ひょこと熊のぬいぐるみがコミカルに踊り出す音


(寂しそうに)

「楽しい夢なんだけど、一人ぼっちだからつまらないな……」


(頬を緩ませながら)

「せめて格好良い男の子でも一緒だったらなぁ。うへへへ」


//SE トントンと肩を叩く音


「……ん?」


「…………」(目が合って硬直する彼女)


「んひゃあああああ!? だ、だだだだ、誰!?」


「あっ!? もしかして私が格好良い男の子と一緒に良いって言ったから人が生み出されちゃったとか!?」


「わ、わわわ、私ったらはしたないっ! ゆ、夢とはいえ理想の男の子を生み出しちゃうなんて……!」(焦りながらパタパタと手で顔を仰ぐ)


「えっ? 違うの? 私がここに現れる前から居たって?」


「な、な~んだ。わ、私が願ったから格好良い男の子を生みだされたのかと思って焦っちゃったじゃん」


「えっ? 自分が私の理想の異性なのかって?」


「~~~~っ!」(ボッと顔を赤く染める)


//SE:やかんのように茹で上がる音(羞恥擬音)


「ふ、ふーんだ! べ、別に理想とは違うけど? わ、私の理想はもっとイケメンだし! キミなんて全然タイプじゃないし?」


(焦りながら)

「って、わわっ! そんなあからさまに落ち込まなくてもっ!」


「キミも、その、ちゃんと格好良いから!」


「って、なんで初対面の人を励ましているんだ私は!」


「ちょっと落ち着こう。キミもそこに座って!」


//SE 衣擦れ音(向かい合って座り合う)

//SE こほんっと咳払い


「改めて初めまして。キミも気づいていると思うけどここは夢の世界だよ」


「無機質で何もない夢でガッカリした?」


「でも、ほらっ! 強く念じれば何でも生み出せる世界なんだよ」


//SE ポンポンッとコミカルな音(音と共に動物がたくさん生み出される)

//SE 犬、猫など様々な動物の鳴き声


「かわいいでしょ。好きなだけ動物さんを抱いていいんだよ」


//SE:ゴロゴロと猫が喉を鳴らす音。


「あはは。猫ちゃんに懐かれたね。可愛い~!」


「えっ? 自分にもできるのかって? やってみようよ! きっとできるよ!」


//SE 肩に手を乗せる音


「ほらっ。目を閉じて。生み出したいものを強く思い浮かべるの」


//SE ポンっというコミカルな音(音と共に物体が生まれ出る)


「あっ! 出たよ! ……って」


「…………」(生み出されたものを見て、彼女が呆れた視線を向けてくる)


「……着ろと?」


「キミが生み出したこのビキニの水着を着ろと?」


「布面積が極端に少ないえっちぃ水着を私に着ろと!?」


「…………」(恐る恐る首を縦に振ってみる)


「着るかぁぁぁぁぁぁっ!」


「なんで夢の中でそんな罰ゲームみたいなこと受けなきゃいけないのさ!」


「これはお前が着てろっ!」


//SE ポフッと投げつけられたマイクロビキニが顔に当たる音


「もぉ~、初めてこの場に人が来てくれて喜んでいたのに、こーんなえっちぃ人だなんて」


(怪訝そうに)

「……今のは冗談だった? 信じられないなぁ」


「信じてほしかったら……もっとキミのことを教えてよ」


「私と一緒に……遊んでよ」


(嬉しそうに)

「えっ!? い、いいの!? 自分で言うのもあれだけど、こんな怪しい女と本当に遊んでくれるの!?」


「か、可愛い子に悪い奴はいないって……キミのその考え結構危ないぞ?」


(更に嬉しそうに)

「で、でも、一緒に遊んでくれるの。うれしい!」


(もっと嬉しそうに)

「わ、私を可愛いって思ってくれるのも嬉しい!」


「早速一緒に遊ぼうよ! もたもたしてると目が覚めちゃうよ」


//SE パシッと手を繋がれる音

//SE 二つの足音が遠ざかっていく音(徐々に足並みが揃う感じで)


(徐々にフェードアウト)




  ◆



(満足そうに)

「あー。あそんだあそんだ!」


「水遊び楽しかったね!」


「夢の中で水遊びするのって結構なスリルだよね」


(からかうように)

「明日おねしょしていても私のせいにしないでね」


「あーあ。もうすぐ起きる時間かな」


「まだまだこの世界には楽しいことあるのに……残念だよ」


「ん? なんでこの世界にそんなに詳しいのかって?」


「……私ね。最近ここに来る夢しか見なくなったの」


「理由は分からない」


「起きるまでずーっとここに一人っきり」


「最初は目新しさからはしゃいでいたけどさ」


「やっぱり……一人きりだと寂しいよ」


(悲しそうに)

「すぐに飽きちゃった」


「だ、だから、さ」


(口元を緩ませながら)

「キミがここに来てくれて……嬉しかった」


「久しぶりに楽しい夢になった!」


「たぶん私は明日もここに居ると思う」


「だから……もし……また逢えたらさ……」


(上目づかいで、縋るように)

「また……私と遊んでくれる?」


「……ありがとう!」


「明日の夢が楽しみになったよ!」


「絶対会いに来てね!」


(弾けるような笑顔で)

「約束……ね?」

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