起きた3人と話して現状を知ろう

朝比奈さんが起きて数分後に三人も少しずつ起きてきた。



「朝比奈さん、そろそろ抱き着くのを止めてくれませんか?」


「え~いやだ」


「離れてくださいよ。他の方々からの視線が痛いので」


「仕方ないなぁ…」


やっと朝比奈さんは離れてくれた。




朝比奈あさひな愛夏あいかさんは俺と同じ大学2年生で同じ学部。彼女と初めて会ったのは同じ学部ということもあって、講義を受けている時に隣の席になったことがあってそこから交流が続いている。

朝比奈さんは茶髪で目がくりっととしている。身長は150ぐらいで中肉中世な感じで胸も他の大学生と比べてある方。朝比奈さんは学内でも人気で、オレも友達から何度か「朝比奈さんの連絡先を教えてくれよ」と言われたことがあった。

さすがに本人の確認なしで承諾するわけにもいかないので、その度に朝比奈さんに確認している。それぐらいの人気者。






朝比奈さんが離れてくれた後に視線を前に戻すと最初に目が合ったのは泉美さんだった。




泉美いずみさん…」


泉美好香さんは朝比奈さんやオレと同じで大学2年生で学部は違って、法学部。綺麗な青白い髪で身長は150ぐらいって前に本人が言っていた。

ちょっと彼女は心配になるぐらいに痩せていて、少し心配になる。前にそのことについて彼女に訪ねたことがあったが「大丈夫です」と言われてしまったのでそれ以上は言わないようにしている。彼女と会ったのは大学1年の秋頃で全学部合同で行われるキャリアの授業で知り合った。


そこで妙に話が合って連絡先を交換してからはよく話す。学部が違うので毎日会うこともなければ、1週間会わない時だって全然ある。それでも連絡だけはほぼ毎日取っているような関係。


「ぼ、ぼくと先輩は何もしてません!!」



「ま、まだ…なにも聞いてませんよ」


この反応からしても…有罪だ。この段階でも朝比奈さん、泉美さんの二人に対してやってはいけないことをしたってこと。もうこれ以上、事実を知りたくないと思ってしまうが、やってしまった以上は責任を取らなくちゃいけない。




「…あ、の…東江とうえさん…」


東江とうえ慈子ちかこさんは僕よりも一つ下の大学1年生でオレと同じ学部。黒髪ショートで顔立ちは整っていて、清楚系美少女のような感じだ。


身長は140ぐらいで小さいけど、そこも相まって可愛いと思ってしまう。会ってまだ1ヵ月も経っていない。

でも、会ったのは1年前でオープンキャンパスで東江さんが来た時に案内を担当したのが僕だった。オープンキャンパスでは5人の生徒に対して在校生が1人で案内するみたいなことがある。


そこで担当したのが東江さんで特別良い案内をしたわけじゃないんだけど、全てが終わった後に東江さんの方から連絡先を交換して欲しいとお願いされた。そこで連絡先を交換してから定期的に連絡を取っていた。そして彼女がこの大学に合格してからは、履修登録などを含めて色々と面倒を見ている後輩。



そんな後輩と関係を持ってしまったのかと思うと…本当に自分はヒドイ人間だ。




「………///」



東江とうえさんは起きてからずっと顔を赤くしてオレと目を合わせてくれない。


この仕草だけでも確実にアウトなのが伝わって来る。





「三葉先輩…」


三葉恋美さんはオレと違う学部で一つ上の先輩。大学3年生で入学当初から本当にお世話になっている方。初めて会ったのはたしか…1年の春頃に学食で友達と食事を取っていた時に話し掛けられた時だったと思う。


あの時は本当に驚いたのを今でも覚えていて、三葉先輩は大学内でも1番人気と言っていい先輩。容姿も整っていて、綺麗な金髪のロングでプロモーションもよくて胸が大きくて男性の目を引き寄せるような方。身長は160を超えているので本当にモデルのような体系。これで人気が出ない方が難しいと思う。

それに加えて先輩の交友関係は本当に広くて、どんな人でも大抵は連絡先を持っていたりする。



恋美ことみにあんなことをしたのに…なにも覚えてないの?」


これで全員確実にやっちゃったってこと。



「すいませんでした!今回のことはオレの責任です。しっかりと責任を取らせてもらいます!」


そう言うと最初に声を返してくれたのは朝比奈さんだった。



「責任、取ってくれるんだ」



「そりゃ責任は取ります。四人に対する責任は全てオレにあるので」


酔っていて覚えていなくてもやってしまったことはやってしまったことだ。有耶無耶にしようとしてもできないし、現実はしっかりと受け止めるしか今やれることはない。



「じゃあ、恋美を奥さんにしてくれる?」 



「え、なんで?」


急に変なことを言うので思わず、驚いてしまった。



「いやなの?」



「いやとかそういう話じゃなくて…なんで奥さんにするって話に」



「恋美はキミに捧げたんだよ。だったらキミも誠意を見せてくれるもんじゃないの?」



「で、でも、結婚とかはもうちょっと慎重に考えた方がいいと思いますよ」


確かにオレは三葉先輩にやってしまったことに対して責任を追わなくてはならない。それはわかっているつもり。でもそれはお金とかだと思っていた。



「恋美はキミがいいよ」


また、なんで……。


オレみたいな人間はお世辞にもいいとは言えない。だってこんなことをしちゃってるわけだし。



「ぼ、ぼくも三葉先輩みたいに奥さんにしてくれるの?」



「なんで…泉美さんも…?」


まじでオレってちょっとおかしくなっちゃったのかな。昨日のうちのどこかで頭でも打ったのかも。そうじゃなかったら今の状況は本当に理解ができない。



「…ぼく…キミのことが好きなんだ!!ずっと!!」


このカミングアウトも今日二度目。もうそろそろまじで頭がおかしくなっちゃうかもしれない。




「そ、そうか…」


東江さんの方に視線を向けるとまだ顔を赤くして俯いている。


この感じだとまだ話し掛けない方が一番良いのか。僕だって冷静じゃないように東江さんだって朝起きてこんなことになってるなんて思いもしなかったはずだ。


そうなれば動転するのもおかしくないし、心を整理するまで時間が掛かるはずだし。






最後に朝比奈さんの方に視線を向けると…なぜか彼女は笑いかけてきた。



「な、なんですか?」



「なんでもないよ。私はただこれからもキミと一緒に居られることが嬉しいだけだよ」




「…そうですか」



朝比奈さんの言っていることを信じるんだとすれば…朝比奈さんもオレのことが好きらしい。だが、今回の問題に関しては『好き』とか『嫌い』の問題ではなくて倫理的に良いのかという話だ。



関係を持ってしまったことを今からでも無くせるんであれば無くしたい。世の中はそんな甘くできていない。一度やってしまったことはもうずっと付きまとってくる。そして俺が朝比奈さんや三葉さん、東江さん、泉美さんにしたことは今更どうしようもない。なるべく彼女たちの心が傷つかないようにするだけ。





それに彼女たちに向き合うためにも…。











それから数週間後に『妊娠した』と連絡が来た時には気を失った。

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