縁をより強く深く繋げていくのは、前向きに生きようとする人の力
- ★★★ Excellent!!!
主人公のアマーリエは、婚期を逃しそうな没落子爵令嬢19才。
明日の食事も危うい家と家族を救うため、授業料が払えなくてアカデミーを休校せざるを得なくなった弟フェリクスと共に、お金持ちの相手なら年寄りでもいい!くらいの覚悟を持って、格上の家の舞踏会へ縁を求めに向かう。
その途中で見つけたのは、今まさに赤子を抱いて身投げしようとしている男性だった……。
一張羅のドレスをダメにしてでも、目の前で死のうとしている人、それも見も知らぬ、何の関係もない相手を助けてしまう。
もうそれだけで、アマーリエという女性の気質が知れようと言うものです。
助けた相手がまさかの公爵であったというのも、アマーリエが自ら引き寄せた縁であり、抱えていた赤子がすぐ懐いてしまうのも、彼女の深い情によるもののように感じられます。
ところで、助けた公爵は、なんとワンマン育児でいっぱいいっぱいになって、親子心中を図ったということでした。
なんと斬新な背景でしょうか!?
地位も権力もある公爵が、そんなまさか?
この事情により、アマーリエは子育てを手伝う契約婚に近い形で公爵家に入ります。
ここで初めて子育て事情と日々の暮らしが明かされるわけですが、物語の終盤まで続く子育てに関するあれこれは、実際に母親である作者様ならではの描写であり、説得力のあるものばかりです。
初め斬新設定に思えた公爵の苦悩も、その中で真実味を増していきます。
徐々に惹かれ合う二人。
恋を自覚して溺愛に転じていく公爵の甘さ。
微笑ましい親子愛。
弟フェリクスの友情と成長。
子に向き合う親の苦悩。
物語の中で見どころはたくさんありますが、終盤の流れは特に素晴らしいものです。
縁はどこで繋がるか分からない。
けれども、それをより強く深く繋げていくのは、前向きに生きようとする人の力だと感じる物語。
お薦め致します。