ヒロイン、アマーリエは、没落した子爵家のご令嬢。
ある日、赤ちゃんを抱いて心中しようとしていた男性を救った事から、溺愛の幕が開きます。
ヒーロー、エルヴィスは、読者から見て、はじめは頼りないのかしら? と思うものの、アマーリエに支えられて、己の落ち着きを取り戻し、後半は、アマーリエには溺愛あまあま、アマーリエに害を為す者には容赦なしの排除、と非常に頼りになる男性に変貌します。
作中でゆっくり成長していく、エルヴィスの連れ子、クラウスが、ずっと可愛くていい子で癒やされます。
アマーリエの弟、フェリクスも、姉をずっと見守っていて、良い味を出しています。
溺愛のときめき、アマーリエとエルヴィスの心の触れ合いが丁寧に描かれていて、ザマァにスッキリ。楽しく読書できますよ!
この作品、とにかくアマーリエがいいんです。
物語は、没落子爵家の令嬢アマーリエが、家族を救うため良縁を求めて舞踏会へ向かっているところから始まります。
その道中で彼女が見つけたのは、赤ん坊を抱いて身投げしようとしている一人の男性。
アマーリエは迷わず駆け出し、大切なドレスを破ってまで、その親子を救います。
この最初の行動だけで、彼女がどういう人なのかがよくわかりますね。
そして、彼女が救った男性が、名門ローゼンブルク公爵家当主・エルヴィスであったことからアマーリエの運命は急展開します。
公爵の赤ん坊のお世話のために嫁入りし、タイトルどおり溺愛されます。
いや、タイトル以上にラブラブになります!
けれど、アマーリエの魅力は、ただ溺愛されるヒロインというところにあるのではありません。
彼女は優しいだけではなく、必要なときには叱ることもできる人です。
子どもには自然に手を差し伸べ、傷ついた大人にも真正面から向き合う。
彼女と関わることで、周囲の人たちが少しずつ変わっていくところも、この物語の大きな魅力だと思います。
繰り返しになりますが、とにかく主人公のアマーリエが魅力的な一作です。
一読をおすすめします!
主人公のアマーリエは、婚期を逃しそうな没落子爵令嬢19才。
明日の食事も危うい家と家族を救うため、授業料が払えなくてアカデミーを休校せざるを得なくなった弟フェリクスと共に、お金持ちの相手なら年寄りでもいい!くらいの覚悟を持って、格上の家の舞踏会へ縁を求めに向かう。
その途中で見つけたのは、今まさに赤子を抱いて身投げしようとしている男性だった……。
一張羅のドレスをダメにしてでも、目の前で死のうとしている人、それも見も知らぬ、何の関係もない相手を助けてしまう。
もうそれだけで、アマーリエという女性の気質が知れようと言うものです。
助けた相手がまさかの公爵であったというのも、アマーリエが自ら引き寄せた縁であり、抱えていた赤子がすぐ懐いてしまうのも、彼女の深い情によるもののように感じられます。
ところで、助けた公爵は、なんとワンマン育児でいっぱいいっぱいになって、親子心中を図ったということでした。
なんと斬新な背景でしょうか!?
地位も権力もある公爵が、そんなまさか?
この事情により、アマーリエは子育てを手伝う契約婚に近い形で公爵家に入ります。
ここで初めて子育て事情と日々の暮らしが明かされるわけですが、物語の終盤まで続く子育てに関するあれこれは、実際に母親である作者様ならではの描写であり、説得力のあるものばかりです。
初め斬新設定に思えた公爵の苦悩も、その中で真実味を増していきます。
徐々に惹かれ合う二人。
恋を自覚して溺愛に転じていく公爵の甘さ。
微笑ましい親子愛。
弟フェリクスの友情と成長。
子に向き合う親の苦悩。
物語の中で見どころはたくさんありますが、終盤の流れは特に素晴らしいものです。
縁はどこで繋がるか分からない。
けれども、それをより強く深く繋げていくのは、前向きに生きようとする人の力だと感じる物語。
お薦め致します。
登場するキャラたちがみんな魅力的で、ぐいぐいと惹きこまれました。
子爵家の令嬢アマーリエは、ある時に赤ん坊と共に身投げしようとしている男を見つける。エルヴィスという名の公爵家の男は、妻に死なれて絶望し、子供を一人では育てられないとして死を選ぼうとしていたという。
そんなエルヴィスの妻となり、赤ん坊のクラウスを育てることを決意したアマーリエ。
このエルヴィスがとにかく危なっかしく。「君は本当の母親ではないから」なんて一番の地雷発言をアマーリエに発してしまったり、色々と「アウト!」な振る舞いをしてきます。
そういう序盤で「ダメ野郎」の烙印を押されそうなエルヴィスだけれど、読み進めていくと彼が貴族として実はかなりのキレ者であることなどがわかり、人間としての奥深さが見えてくるのが魅力的でした。
彼の他にもアマーリエの弟であるフェリクスやその親友のエルベアト、悪役として登場するその他の令嬢たち。出てくる人々がとにかくキャラが立っていて、誰を主役にしても独立した物語が書けそうなポテンシャルがあり、作品全体から強いパワーを感じさせられました。
フェリクスとエルベアトの友情と、フェリクスが頼れる大人としてエルヴィスを目標にする展開。そしてアマーリエに対して歪んだ想念を向けてくる存在。王家の中にある問題など。そうしたドラマが絡み合って一つの物語を形成し、すごく重厚な世界に浸っているという満足感が得られます。
重厚で、そして読めば前向きになれるエネルギーに満ちた作品。大きな充実感をを与えてくれる一作でした。
タイトルに溺愛と書かれていますが、実際に読んでみたら溺愛されまくりでした(笑)
本作の主人公、アマーリエにはイケメンで優しい夫と可愛い息子、さらには姉思いの弟までいて、幸せすぎる結婚生活が描かれています。
でも、最初はそんな恵まれた環境ではありませんでした。
アマーリエはアウリスタ国の没落子爵家・リーヴェスヴィンセン家の長女で、物語の冒頭では、お家のためにいい相手と結婚しようと婚活に励んでいました。
彼女は馬車で舞踏会に向かう途中、息子と共に自殺しようとしていた男と出会います。
アマーリエはその自殺を止めるのですが、なんと後に彼が国を支える名門エルヴィス・フォン・ローゼンブルク公爵であったことが判明します。
彼は妻に先立たれ、息子の世話を一人でしていたことで精神的に病んでしまい、自殺をしようとしていたみたいです。
アマーリエに説得されると、乳母になって欲しいと言ってきたエルヴィスですが、アマーリエの弟のフェリクスは姉が結婚できなくなると反対し、二人が結婚をしたらいいのではないかと提案しました。
そしてアマーリエとエルヴィスは結婚することになりますが、最初は二人とも打算があって夫婦になったにすぎませんでした。
エルヴィスは子育てのため、アマーリエは家のため、それぞれそういう意図があっただけでしたが、二人はいろいろ困難を乗り越えていくうちに、お互いに愛情が芽生え、それからはもう読んでいて恥ずかしくなるくらいラブラブになります(笑)
当初の態度とはがらりと変わって、夫のエルヴィスは過保護なくらい主人公のアマーリエを大事にし、彼女を害そうとする者には過剰なまでの罰を与えようとすらします。
そんな危険だけど愛妻家のイケメンの夫とかわいらしい息子と優しい弟に囲まれた幸せな結婚生活が本作ではこれでもかと描かれています。
ちょっと重苦しい展開もあったりしますが、すぐに解決し、夫婦の絆がより深まり、主人公はさらに幸せになるので、鬱展開が苦手な方も安心してお読みください。
イケメンの夫に溺愛されたい、かわいい息子や優しい弟が欲しい、そう思ったことが少しでもある方は読んで損はない作品だと思います。おすすめです!