最初の試練ーGolemー
資格を得た者
土塊に宿る生命。
生命に意思はあるのか?
土塊に生命はあるのか?
それは何故生命持つ者として作られたのか。
それは何故意思持つ者として存在するのか。
創造主と呼ばれし者は真理を求め土塊に生命を込め、立ちはだかる試練となって若き才能と相対する。
ーー
エルクリッドとシェダの手合わせから四日が経ち、一行は目的地であるガリディアン修練場近くまで来ていた。
到着してすぐ戦う事も考えてエルクリッドとシェダは休憩がてらカードの確認をし、それをノヴァが目を輝かせながら見守りリオとタラゼドは水筒の水を飲んで喉を潤す。
「そういえば、リオさんも参加証は持っているんでしたよね?」
不意にタラゼドに問われながらえぇとリオは答え、自分のカード入れより無地の状態の星彩の儀の参加証を取り出してみせた。
エルクリッドとシェダのものは戦いを重ねてほのかに光を帯びており、無地のカードに一つの点が浮かび十二星召への挑戦権を示している。
「リオさんも五曜のリスナーを目指せばいいんじゃないですか? 規則だと騎士とかでも問題ないみたいですし?」
「考えはしましたが、私は騎士としてまだ未熟ですからね。ですが必要ならばエルクリッド達との手合わせ等をしたいとは思っていますし、今回の催しに貢献できるならと参加証だけ持つ事にしたのです」
エルクリッドへリオは穏やかに答えながら参加証をしまい、騎士として未熟という己の言葉を改めて振り返る。
騎士として追っていた者達から逃れる中でエルクリッド達と出会い、共に行動し学び思い任務を果たせた。
一人では成し得なかったものの大きさ、騎士として力を高めるのは五曜のリスナーを目指すだけではないと思い至った事も振り返りつつ、フッと笑う。
「今回の星彩の儀は一度で全ての席が埋まるとは限りませんから、気が向いたら挑戦する……かもしれませんね」
「うん、それでいいと思います。あたしもバエルと戦いたいからってのが大きいし、なれたらなるくらいでいますから」
五曜のリスナーを選定するのが星彩の儀の目的ではあるが、その資格を得たとしても席につくかは選択ができる。またエタリラ全土を巻き込む催しが短期間で終わり席が埋まるとも限らず、その点を踏まえると参加を急ぐ理由はないとも言えた。
エルクリッドも目的はバエルとの戦いと、それまでのさらなる研鑽がある。五曜のリスナーという席につくかについてはまだ決め兼ねているといった状況であり、カードを束ねながらまだまだ先の事を考えても仕方ないと切り替えてカード入れにカードを収納し終える。
「ま、とにかくやるだけやってかないとね。まずはバエルの奴に勝つ事、その為にもっといろんな人と戦ったり本気の十二星召と戦ってかないと」
目の前の事を確実にこなすこと、明日へ向かい今日できることをすること、エルクリッドの眼差しに迷いはなくその言葉と併せてノヴァ達もまた自然と前向きに気持ちが向く。
そうなったところでシェダもカードを整理し終えてカード入れを備える帯をたすきがけし、これから戦うであろう十二星召についての話を切り出す。
「で、十二星召ニアリット様についてはゴーレムの使い手……でいいんだよな?」
「うん、前にあたしが戦った時は試験用のって事だったから、今回はまた違うゴーレムだろうね」
人造生命体ゴーレムは通常なら意思を持たずアセスにはできない。しかし造り手の技量や永き時を経る等で意思を持ちアセスとする事ができるようになり、上手くいけば様々な能力のアセスを自在に作れるという事でもある。
十二星召の一人ニアリットはゴーレムの創造主の通り名を持つ専門家であり、ゴーレムのみをアセスとする稀有なリスナーだ。以前エルクリッドが相対した時はそれ用のゴーレムを使用したが、今回はそうではないと予想はつく。
以前の旅で十二星召の面々とは戦う機会もあったが、本気の彼らと相対する事はなかった。何人かはそれに近い形でぶつかり合いこそしたが、真の実力には程遠いだろう。
十二星召はそれぞれが神獣を抑え込めるだけの実力を最低限有し、何かしらリスナーとして秀でてるからこそその席についてる。ニアリットはゴーレムに関する技術や知識でその座についており、今回はその力を発揮してくるのは明白だ。
対抗策はあれこれ考えはしたものの、やはり実戦でものを言うのは咄嗟の判断と折れない心の二つ。そう思いながらエルクリッドとシェダが立ち上がり、それに合わせてノヴァとタラゼド、リオも出発の姿勢を見せた。
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