私が子供の頃は、田舎だったこともあると思うのですが、3世代や4世代同居の家がまだまだたくさんありました。一つの屋敷に、親戚等が同居している場合もまだあったと思います。
結果として死は、いつも目の前にあったように思います。
今では、死を目の前にする機会は、確実に減っている。そんな中で作者様は、看取り、通夜、火葬、納骨と言う一連の行事を体験されました。
火葬場の匂いの描写から始まり、祖父への深い愛情や後悔、自己嫌悪、そして少しずつ訪れる受容の過程が、具体的な情景とともに綴られていてとても印象的です。
登場人物の表情やしぐさも自然で、生々しさと温かさが共存しています。特に「温かい骨壷」の描写に、お祖父様の存在を強く感じさせられました。