ゴーレムはロボットです。
山田 ソラ
プロローグ 始まりの時
「……まさか、ここで終わりか」
目の前で、研究所の火災報知器がけたたましく鳴り響いていた。
博士号を取得し、ロボット工学の道を極めようとしていた。
俺、**斎藤和真(さいとう かずま)**の最後の記憶は、自ら設計した実験用AIロボットの暴走。
それを止めるために、無理やり主電源を引き抜いた瞬間の閃光だった。
意識が途切れ、次に気づいたとき、俺は漆黒の空間に浮かんでいた。
「……やっと目を覚ましたか、人の子よ」
声が響く。
空間の中心には、人の形をした光のような存在が漂っていた。
それは“神”としか呼べないものだった。
「お前の魂は肉体を失った。しかし、特別に次の世界へ送ってやろう」
「……異世界転生ってやつですか?」
思わず、研究員時代に同僚たちと冗談半分で話していた言葉が口をついた。
「呼び方はどうでもよい。ただし、お前には一つ祝福を授けよう」
神の手が俺の額に触れる。
次の瞬間、脳内に直接情報が流れ込んできた。
まるでゲームのスキル欄のように、直感的に理解できる。
《スキル:ゴーレム生成》
※無機物に魔石を入れ、魔力を込めることで自律稼働する人形(ゴーレム)を作り出す力。
※性能は創造者の知識・魔力量・工夫に依存する。
「……これ、完全にロボットじゃないか」
「お前の知識とよく噛み合うであろう。では、次は赤子として生を受けよ」
光が爆ぜ、世界が回転する。
その瞬間、俺は心の奥で強く誓った。
よし、今度こそ完璧なロボットを作ってやる。
そして産声を上げた。
目を開けると、そこには木造の天井。
泣き声とともに、母らしき女性の顔が映る。
優しく微笑むその顔は、日本人とは少し違う異国の形をしていた。
「坊や、坊や……元気に産まれてきてくれてありがとう」
温もりに包まれ、俺は静かに目を閉じた。
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