SF狩人は異世界を満喫したい

@katuonotatakpe

プロローグ コンカッツ村編

第1話 物語の始まりは狩猟と血の匂い

⚪︎異世界ノーベル ガルブベルド王国 コンカッツ村【side ルイ】



始まりは些細な事だった。


『…いや、何で洗剤を詰め替える際に他社の製品同士を混ぜたの?普通に有毒ガス発生して死んだんだよ君??』


「すんません、まさか詰め替える洗剤の容器を間違えるとは思わなかったんですよ。普通に俺のミスです」


俺は日本に生まれ、名古屋で大学に通いながら一人暮らしをしていた。そんな俺は今日朝、半分寝ぼけながら洗濯機を回そうとして洗剤を使おうとした切れていた。だから買い置きしていた詰め替え用を出してボトルに詰め替えたのだが…まさかそこで寝ぼけて本来詰め替える筈のボトルの隣にあった漂白剤に酸性洗剤を突っ込んでしまい有毒ガスが発生。それを吸って普通に死んだ。

そのせいか目の前にいる神様っぽい老人に呆れられいるわ、俺も寝ぼけながら死んだからなのか本名すら思い出せない。


『…ま、いいか。結果的に君は死んだんだ、今更とやかくいうつもりは無い』


「…あい」


老人は呆れつつも割り切ってくれた様で俺にそう言ってくれるが、俺は普通に悔しい。

まだやり残した事も沢山あるし、普通に考えて寝ぼけて自殺した何て余りにも悔いが残る死に方だ。マジで勘弁してほしいよ。


『だが、君はまだ後悔があるようだね…それにこの死に方は流石にこの死因はかわいそうだ。だから地球ではなく、【ノーベル】って世界に転生させてあげるよ。特別に前世の記憶を持った状態でね』


「…え、マジっすか?」


『マジマジ、神様嘘つかない。嘘ついたら閻魔大王直々にパイルドライバーをお見舞いされるからね…あれ、マジ痛いからもう喰らいたくない』


「いや、一回嘘ついてお仕置き食らってんのかい」


俺は思わずツッコミを入れたがその老人は聞く耳を持たないのか、


『オマケもつけてあげるから今すぐにレッツゴ〜!!』


とか言って俺の頭を掴むと地面に叩きつけた。その瞬間に俺は意識を失い、次に目覚めた時には異世界である【ノーベル】のガルブベルド王国という国にあるコンカッツ村って村に【ルイ】という男の子に転生した。

最初こそ何故赤ん坊からのスタートなのか疑問に思ったが…それ以上にヤバい事実が俺を現在進行形で悩ませている。何せ生まれた家が貧乏農家の5男、つまり上に四人も兄弟がい食べ物がまともに食べられない。

だから3歳から狩猟をする為にお手製の罠や偶に森に落ちている錆びた槍を使って、俺でも狩れるツノが生えたウサギである【ツノウサギ】、見た目がダチョウと鶏を合体させた【ガープ】なる鳥のモンスターを狩ったりして飯を確保、村に持ち帰って村の皆で解体して肉や毛皮などを分けたりしながら自分の分はしっかり食べていた。

元々名古屋の農学部に通っていたし、実家が岐阜の農家で両親や爺ちゃんが狩猟してきた鹿やイノシンも一緒に解体して検査してもらってから食っていたからか狩猟用の罠や命を奪う行為そのものに忌避感は無かった。それに、この村には竹林がある。柔軟性と殺傷能力が高い竹さえあればトラップなんて作り放題、だがら5歳でガープを5匹も狩って持って帰ってくるなんてザラだ。それ故か毎回血まみれで村に獲物を持ち帰ってくる俺を見た兄妹達は俺を生意気だと虐めたいのだろうが5歳でモンスターを狩れる実力があるせいで虐められずに化け物を見る目で見てくるし、何なら毎回モンスターの血抜きで全身血まみれで帰ってくるからか数人の大人からも変な目で見られている。だが、モンスターを狩猟しないと俺が飢え死ぬからコレばっかりは仕方がない。


「別に食べる為に狩り、食べ切れない分は皆におそそわけしているだけなんだがな…って、やっぱりコイツ重!?今回は流石に解体してから持っていくべきだったかな?」


そんな俺は現在、村の人から特別に仕立ててもらったモンスターの毛皮で作った防寒着を着込んで真冬の山をヒグマみたいなサイズで4本の牙が生えた【ボルボル】なるクソ重いイノシンみたいなモンスターを木と竹で作ったソリに乗せて1人で運んでいる。このモンスターは冬の山でしか姿を現さない、骨すら何かしらの材料になり捨てる所が血しかなく肉は1匹で村全体が3日は肉に困らない程度の量が取れる。特に舌が美味い、村の中で狩った俺と村長以外はこの美味さは知らないからほうちされているが、焼いても煮ても最高に美味い。だから今回も前日に罠として落とし穴+竹槍剣山地獄の殺意マシマシの罠を仕掛けて一晩経ってから確認にきたのだが…まさかここまでデカいサイズとは思わなかった。普通なら猪サイズなんだが、今回はまさかのヒグマサイズ。引き上げた際に見たのだが、罠の落とし穴に頭から突っ込んだ様で顔や目、おでこや鼻に竹槍が刺さりまくっていた。当然ボルボルは暴れていたらしく周りの雪が土まみれになっていたのだが、今は血の匂いと共に動かない所を見るに、どうやらそのまま抜け出せずに出血多量で死んだみたいだ。だが、それを何とか引っ張り出してソリに乗せたのだが流石にデカすぎて縄を引くたびにソリが壊れかねない音を鳴らしている。しかし、村の近くまで運んでいたら村の高台から見えた辺りで村の門から村の大人達がこちらに向かって走って来てくれた。


「ルイ、何だそのボルボルは!?デカすぎだろ!?!?」


「いやいや、コレは最高だな!普段のサイズでも十分なのにコイツはかなりデカいからその分肉も期待できそうだ、しかも今回は頭部以外は傷が無い。毛皮はなめして交易に回しても良さそうだな…今から楽しみだぜ」


「骨は建材で牙は武器や工芸品に回して、肉は今日食べる分以外は全部燻製肉に。内蔵はソーセージなんかにして毛皮は…こら、この冬も私は退屈しなさそうだね。ありがとうねルイ、冬の間の生きる糧と基本に暇だった日々に仕事を作ってくれて♪」


冬という環境で獲物を狩ってきた俺を皆が褒めてくれながらも大人達がソリに乗ったボルボルを囲んでからそう話した後に全員が一斉にソリを押してくれた。おかげてスムーズに村の中まで入ってきた俺は…まだ仕掛けた罠のポイントを回りきってていないのを理由にまた雪山に向かって歩いて向かうのだった。

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