第3話 初恋相手は運命の相手である
※メルラナのシーン
(え……?え……?そんな……嘘だよね……?だって……僕……こんな女の子みたいな見た目をしているからって、君と同じ男なんだよ!?それに見た目だけじゃなくて……声とか……性格とか……笑顔とか……なんかもう全部好きって言ってない!?しかも……僕と一生傍に……って……それってもうプロポーズだよね……?どうしよう……僕……もう抑えられない感情を言葉にしちゃって……あんなことを言っちゃったよ……!どうしよう……どうしようどうしようどうしよう!!わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)
僕はもうどうしたらいいかわからなくなって、駆け足で自分の家へと帰った。玄関の扉を勢いよく開けて思いっきり閉めると、その音を聞きつけて僕の姉のマルリーナお姉ちゃんが急いで出てきた。
「ちょっと何この大きな音!?って……メルくんじゃない、え、どした?なんか顔赤くない!?か、風邪でも引いちゃったの!?」
「お姉ちゃん……あ、あのさ……」
「どしたの?ふらふらするならベッドまで運ぼうか?」
「えっと……これは風邪じゃなくて……あのね……その……僕……プロポーズされちゃった……」
「え……?え……ええ!?あのメルくんに……ついに恋人が!?え!相手は!?どんな女の子なの!?もしかして……あーちゃんだったり!?」
「えっと……その……相手は……男の子なんだ……けど……」モジモジ
「おと……こ……?」
(……!!!ははーん?メルくんを女の子だと見た目で判断して、それで即プロポーズしたってことかー、まーメルくんはそんじょそこらの女の子よりも可愛すぎるし、無理もないかーうんうん)
「で、もちろん断るよね?だって昔から男の子に告白されることってよくあったじゃーん!」
「それが……その……」
「え……まさか本気!?いやいやいやいやメルくんを見た目で判断する子なんだよ!?その子がメルくんを男だって知っちゃったらまた振られちゃうかもしれないんだよ!?」
「で、でもね……初めて彼が僕の姿を見たときは、他の男の子と同じ反応だったんだけど、でも……また再会したときに、僕と仲良くなりたいって思ってたらしくて……僕……すごく嬉しかったけど、自分の性別をすぐにでも明かさないといけなかったのに、僕と嬉しそうに話してくれる彼を見ていると、伝えるタイミングを逃しちゃってさ……でも……彼は僕の見た目だけじゃなくて、名前や声、仕草、内面までも好きって言ってくれて……しかも……僕の笑顔をずっと見ていたいって……それで……それで……!」
「え、ちょ……めちゃめちゃ情熱的じゃないその子……!?え、で……それでそれで!?」
「それで……僕が色々諦めて一人になっちゃったら……い、一生……傍に居るから……って……!」
「……えぇぇぇぇぇ!?!?!?ちょっとなにそれぇ!!私だってそんな情熱的なプロポーズなんて受けたことないよぉ!?そんなの言われたら、誰だって夢中になるってぇ!!キャーーーーーーー!!!」
「でね……えっとね……僕もう自分の気持ちが抑えられなくなって……彼の耳元で……僕も……大好きだよって……言っちゃって……」
「イヤァァァァァ!!甘酸っぱい青春キタァァァァァァァァァ!!!!」
「お姉ちゃん……どうしよう……僕……は、初めて人を……もうとんでもなく好きになっちゃった……!」
「カハッ!……アァア、アァ、アアアァ、アァ……」
(うちの弟が、とんでもないメスの顔になっている……!!よし……これはもう!)
「メルくん……お姉ちゃん、お主に男の落とし方、伝授したるっ!」
「男の……落とし方?」
「そう……メルくんの色気を出しまくってその子をメロメロにするのよ!!」
(めっ……メロメロォォォォ!?!?)
「えぇえでも僕!男の子のそういう気持ちってよくわからないよぉ!?!?」
「だぁいじょぉぶ~、うぶな君でもこれをやれば彼氏くんはドキドキが止まらないわよ!いいから!ちょっと耳貸しな!」
「ゴニョゴニョ、ゴニョゴニョゴニョ……」「うんうん……うんうん……うん?」
…………。
「んえ?そんなことでメロメロにできるの?」
「うん、お主のその見た目でこれをやられたらとんでもない破壊力になるわよ」
「ん~……まぁものは試しってやつなのかな……?」
「そういうことよ、まぁあとはお姉ちゃんに任せて、メルくんはお風呂入って寝なさい」
「うん……でも……僕寝れるかなぁ……?」
「まぁ、私はそこはまったく心配してないわよ」
「むー……」
「ほら、早く入ってきなさい」
「はーい」
~~
「はぁぁ~……」
あの弟に、彼女じゃなくまさかの彼氏ができるとはねぇ……?最近色々あっただろうけど、いつも通りぐっすり寝なさい。まぁでもね弟よ……。
「お姉ちゃん今日人生をかけて弟を改造する準備をするから徹夜になるわよぉぉぉぁぁぁ!!!!」
魔性の女にしてやるわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
~~
「ふぅ~……よっと……」
ボフッ!
僕はお風呂を上がって歯をしっかり磨いて、いつも通りベッドの上で複合属性で作った温風を風量調節をして自分の髪に当てて乾かしている。
「この長い髪の毛も、ファルコアくんは綺麗だって言ってくれたなぁ……」
(自分の容姿はそこまで好きじゃなかったけど、あんなに真剣に好きって言ってくれたのって……初めてだったなぁ……)
僕は髪を乾かし終わると、抑えられない気持ちをなんとか発散するために、寝る時にいつも抱きしめている猫の抱き枕をいつも以上にぎゅーっと抱きしめながら横になった。
「ん~!フフフフッ♪」
(僕の外見だけじゃなくて、内面も、好き……かぁ……内面……?あっ……)
「僕……男の子だから……男の子同士だと……本当の恋人になれないんだよね……?でも……大好きだよぉ……もう離れたくないよぉ……」
(ねえ、神様。僕、魔剣士になる夢だけじゃなくて、もっと叶ってほしい夢ができちゃった……。僕……見た目だけじゃなくて、本当に……女の子に……なりたいなぁ……。もし神様がこの夢を叶えてくれなかったら……もう……悪魔でも……いい……か……な……)
「すぅ……すぅ……」
メルラナは、どんなに元気が有り余っていても、いつも決まった時間に寝る寝付きの良い子である。君の夢は、いつかきっと、叶うかもね。
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