第9話:宇宙の悲鳴<ウチュウ・ノ・ヒメイ>

闇のクロノスとの戦いを終え、2つのクリスタルを統合したユウキとヒカリは、ネオ・クロノスを駆り、次の宇宙へと旅立った。彼らの存在は、もはや一つの宇宙の英雄ではない。すべての絶望を希望に変える、真の「時の超越者」として、新たな道を歩み始めたのだ。


彼らが足を踏み入れたのは、奇妙な静寂に包まれた宇宙だった。星々は存在しているが、光を失い、まるで死んでいるかのように見えた。


「ヒカリ、この宇宙は……」


「解析中よ、ユウキ! これは……星々が、光を失っているんじゃないわ。時間が、逆方向に流れている! 宇宙そのものが、過去へと逆行しているのよ!」


リナの解析に、ユウキは驚きを隠せない。この宇宙は、時空の歪みによって、宇宙の始まりへと向かっていた。すべての存在が、徐々に消滅へと向かっていたのだ。


その時、ネオ・クロノスのモニターに、微弱な信号が届いた。それは、この宇宙の管理者と思われる存在からの、助けを求める悲鳴だった。


『……どうか、止めてくれ……我々の宇宙が、消滅していく……!』


声は、かすれていて、絶望に満ちていた。ユウキとヒカリは、その信号をたどり、宇宙の中心へと向かった。そこには、かつて時間喰いが存在した場所に似た、巨大な虚無の穴がぽっかりと開いていた。


「この穴が、この宇宙の時間を逆行させているんだ……!」


ユウキが叫ぶ。その穴からは、すべてを吸い込むような強烈な重力が放たれており、ネオ・クロノスを飲み込もうとしていた。


その時、虚無の穴から、一機の巨大なエグゾフレームが姿を現した。その機体は、ネオ・クロノスに酷似していたが、その装甲は、無数の時間軸をねじ曲げて作られたかのように、歪んで見えた。そして、その機体の目からは、純粋な悲しみが溢れ出ていた。


『……ごめんなさい……ごめんなさい……』


その声は、かつてヒカリがネオ・クロノスを開発する過程で、ユウキに語りかけた、彼女自身の声に似ていた。

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