第16話:星々の彼方へ<ホシボシ・ノ・カナタヘ>

カイトとリナは、進化したタイム・ファクターの力をクロノスに応用し、宇宙への旅に出た。地球の荒廃を食い止め、新たな未来を創造した彼らの使命は、宇宙の真理を探求することへと変わっていた。

クロノスは、時間を加速させる「クロノ・ドライブ」によって、光速を遥かに超えるスピードで宇宙を駆け抜けていく。リナは、タイム・ファクターの力を使い、宇宙の時空構造を解析していた。

「カイト! 見えてきたわ! これが、時間喰いの真の起源……」

リナが、驚愕と興奮の声を上げる。クロノスのメインモニターに映し出されたのは、無数のブラックホールが連なり、巨大な渦を巻く、宇宙の特異点だった。それは、時間軸がねじれ、過去も未来も存在しない、まさに混沌とした空間だった。

「これが……時間喰いの生まれた場所……」

カイトが呟く。その渦の中心には、見たこともない奇妙な構造物が浮かんでいた。それは、幾何学的な模様を描き、絶えず変形を繰り返している。

「あの構造物……タイム・ファクターに似ているけど、全然違うわ! これは、宇宙の始まりから存在している、時間そのもののコアよ!」

リナは、興奮しながら解析結果をカイトに伝えた。時間喰いは、このコアから生まれた時間軸の歪みが具現化したものだったのだ。

その時、コアから発せられる強烈なエネルギーが、カイトとリナの機体を襲った。エネルギーは、彼らの心に直接語りかけるように、無数の情報を送り込んできた。

『お前たちは……この宇宙の秩序を乱す存在……』

声は、怒りでも悲しみでもない、ただ純粋な「否定」の意思だった。コアは、カイトとリナがタイム・ファクターで過去を改変した行為を、宇宙の秩序に対する冒涜だと見なしていたのだ。

カイトは、その圧倒的な力に、思わずひるんだ。しかし、彼はすぐに立ち直る。

「秩序……? 俺たちがやったのは、絶望を希望に変えることだ! それが、なぜいけないんだ!」

カイトが叫ぶと、リナも続いた。

「私たちは、過去の悲劇に囚われず、未来を切り開くためにここに来た! あなたたちの言う『秩序』は、絶望を繰り返すだけのものだ!」

二人の心の声は、コアへと響き渡る。コアは、二人の言葉にわずかな動揺を見せる。その時、カイトは、クロノ・ゼロが残したペンダントを強く握りしめた。

ペンダントは、コアと共鳴し、まばゆい光を放ち始める。その光は、コアの周りに渦巻く混沌とした空間を、少しずつ安定させていく。

『これは……未来の可能性……?』

コアの声が、わずかに変化した。それは、カイトとリナが、時間軸の整合性を保つという彼らのやり方とは違う、新たな未来の可能性を示したことに、戸惑いを見せていたのだ。

カイトとリナは、シンクロ・クロノ・ドライブを発動させ、コアの周りに広がる混沌へと飛び込んでいく。彼らの力は、過去の絶望を消し去るだけでなく、未来の可能性を創造する力へと進化していた。

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