第15話:再会の朝<サイカイ・ノ・アサ>

時間喰いとの激戦を終えたカイトとリナは、タイム・ファクターを完全に制御できるようになった。彼らはその力を使って、荒廃した地球の再生を本格的に開始する。アストラル・ラボの地下から地上へ向けて、生命の光が放たれた。

「タイム・ファクター、エネルギー出力、最大!」

リナが指示を出すと、クロノスから放たれる青白い光が、大地を包み込む。瓦礫の山だった荒野が、瞬く間に緑の草原へと変わっていく。枯れた川には水が流れ、空は澄み渡り、生命の息吹が満ちていく。

「すごい……本当に、世界が変わっていく……!」

カイトは、クロノスのコックピットからその光景を眺め、感動で胸がいっぱいになった。彼が復讐を誓ったあの絶望的な世界が、今、希望の光に満ちていた。

その時、カイトのクロノスに、古い通信回線からノイズ混じりの通信が入ってきた。それは、彼が以前所属していた軍の通信だった。

「こちら、国連軍…聞こえるか? そちらのクロノスと、もう一機のエグゾフレーム……」

通信の声は、聞き覚えのあるものだった。

「教官……!?」

カイトが驚きを隠せない。通信の主は、カイトの操縦を厳しく指導し、ヴァージンとの戦いで彼を支えた、元教官だった。

「カイト! そして、リナも無事か……!」

教官は、安堵と喜びの声で、二人の無事を喜んだ。二人が行方をくらませてから、彼はずっと彼らの行方を追っていたのだ。

「一体、君たちはどこで何を……この地球の再生は、君たちが?」

教官は、モニターに映る地球の変貌した姿に、信じられないという表情を見せた。カイトとリナは、クロノ・ゼロとの出会いから、タイム・ファクター、そして時間喰いとの戦いまで、これまでの出来事をすべて話した。

「そうか……君たちは、そんな壮絶な戦いを……」

教官は、二人の話を聞き、静かに涙を流した。彼は、二人が成し遂げた偉業に、心から感動していた。

「カイト、リナ……私は、君たちが誇らしい。だが、君たちの力は、もはや私たちのような組織の管轄には収まらない。君たちは、この世界の新たな希望だ」

教官は、二人の新たな旅立ちを祝福してくれた。

カイトとリナは、クロノスとタイム・ファクターの力で、世界中の荒廃した土地を再生させていった。彼らの存在は、瞬く間に「時の超越者」として世界中に知られるようになる。人々は、絶望の時代を終わらせた二人の英雄を称え、新たな時代を築き始めた。

しかし、カイトとリナは、まだ自分たちの旅が終わったとは思っていなかった。彼らの戦いは、人類の未来を救っただけではない。ヴァージンが生まれてしまった、その根本的な原因を解決しなければならないと感じていた。

「この力を使って、宇宙に飛び出そう。そして、時間喰いの真の起源、そして宇宙の真理を、この目で確かめるんだ」

カイトは、リナにそう告げた。リナは、迷うことなく頷いた。

彼らの物語は、今、地球を飛び出し、宇宙という広大な舞台へと向かっていく。クロノスとタイム・ファクターの力を携え、カイトとリナは、時を超えた最後の旅に出る。

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