文章が美しいだけに、怖さが倍増する作品でした。
人気の覆面小説家の担当編集者冴島が、初めてその小説家の家を訪ねる。電話で話したことしかないので、ワクワクして行ったのは、以前は時計台兼教会だったという建物。
書斎らしき部屋に通され、そこに横たわっていたモノと対面させられた冴島は‥‥。
謎めいた老小説家と、古い時計台。天井まで聳える書棚に収蔵された書物にステンドグラスからの明かりが差し込む。巧みな情景描写だ。
まさつきさんの文を読むと、ああ、どうしてこんな表現ができるんだろうと羨ましくなることがある。
流麗な美文で綴られる背筋も凍るようなホラーをご堪能ください。