囁きに何度も恋落ちる

恋文春奈

第1話

「こんなことしてほしいんだ」



君のひとこと。



ソファで少女漫画を読んでいたら、



君が後ろから耳元に囁いた。



「え?優くん!?なんでいるの?」



「なんでって、休みになったから遊びに来た

サプラーイズ!!」


「愛華、全然玄関で挨拶しても返事ないし、何集中してた?」



「ごめん、気づかなくて、今お茶持ってくるね」


私は話題をそらす。


そう言ってソファから立つと優くんはふわりと後ろから抱きしめる。



「え!?」



「さっき見てたでしょ…してほしいのかなって」



どうやら君はお見透しらしい。



「そうだけど…」



優くんの顔を見る。



「ん?」



「優くん…嫌じゃない?」



「うん…全然嫌じゃないけど…そうだな、


 こんなこともっとしてあげる」



優くんはまた耳元に囁いて頭をポンポン撫でる。



私は真っ赤になる。


優くんは楽しそうに笑う。



「そういえばさ、今日隣街でお祭りあるんだけど、     

一緒に行かない?」



「行きたい!」


「浴衣着ない?」


「私、持ってないけど…」



「行ってからのお楽しみ!」

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