第19話 動力源
それは微弱な振動を繰り返しながら周囲に魔力を供給しているようだった。
「これが動力源です!破壊してください!」
ハルトの指示で航希は指輪から新たな魔法を生成する。
「フレイム・インパクト!」
火球が直接動力源に直撃すると眩い閃光と共に爆発が起こった。
「ギィィ……!」
悲痛な叫び声と共に岩巨人の動きが停止する。その巨体はバランスを失いゆっくりと倒れ始めた。
「危ない!」
航希たちは急いで距離を取る。轟音と共に岩巨人は大地に沈黙した。
「やった……のか?」
アッシュが慎重に近づくと動力源を失った岩巨人は完全に機能を停止していた。
「ああ。間違いなく破壊されたようだ」
航希は安堵の息を吐くと全員に呼びかけた。
「みんな!よくやってくれた!」
喜びの声が上がる中フィオネが不思議そうな表情で首を傾げた。
「でも……これを作ったのは誰なんでしょうね?」
その疑問に答える者はいなかった。しかし確かなのは七死司祭たちがこの世界を支配するために様々な手段を用いていることだった。
その日の夕暮れ村に戻った航希たちは祝杯を挙げた。しかし同時に不安も募る。次の司祭は何を仕掛けてくるのだろうか……
「航希さん。少しお時間よろしいでしょうか?」
宴会の最中エルミナが控えめに声をかけてきた。
「どうした?」
「実は……私の故郷の話を聞いていただきたいのです」
その瞳には複雑な感情が滲んでいた。
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