夏休み2日目、人魚拾いました。
キレ猫
第1話 夏の始まり①
世の中、いくらでも不思議な事は存在する。テレビやネットを観れば他人のそんな出来事を知る事が出来る。その当事者は皆、現実じゃないと思ったという。そんな事があるわけ無い、思っていた。彼女と出逢う迄は‥‥‥。
2023年夏、俺は朝から暑苦しい中バスに揺られていた。ここは下関市、俺は絶賛高校に向かっている。そして今日は終業式の日だ。昨日の時点でクラスメイトは夏休みに浮かれていた。確かに夏休みは楽しい。が、俺は今少し憂鬱な気分に陥っている。
バスを降り5分歩く。そして漸く高校に到着、それと同時に後ろから背中を叩かれる。
「っ痛ーっ!って向葵‥‥手加減をしなさい!」
俺が振り向くとそこにはクラスメイトの佐藤向葵がいたずらそうに笑みを浮かべている。彼女とは小学校からの縁だ。憎たらしいがどこか憎めない。そんな俺の大切な友達だ。
「ニヒヒ、勇吾おはよ!」
「はいはい、おはよ。」
「明日から夏休みなのに何で朝から暗いの?フラれた?」
「いや今日終業式じゃん‥‥。俺、終業式とかの式典嫌いなんだよ。」
実際、俺はこれのせいで朝から憂鬱だった。体育館に集まって長い話を聞いて‥‥ずっと体育座りだからお尻が痛くなるからそういった式典は嫌いだ。
「ふ~ん?小学生の時からそこは変わらないね~。」
そんな会話をして、俺達は各々の教室に入った。
というのも、両親は2人とも海外駐在で家にはいない。3個上の姉も東京の大学に行ったので俺は絶賛一人暮らしを満喫中だ。それを良いことに皆がウチに屯している。
「高二の夏休みだしよー、皆で派手に遊びに行こうぜ!」
そう提案している高身長坊主は松原太陽だ。見た目通り、野球馬鹿である。
「おっ、太陽のくせしていいこと言うじゃん。じゃあ俺明日の夏祭りに一票。」
「おい、くせにって何だよ。」
と、太陽をからかい気味なのが新島昴。 そしてもう一人、向葵の3人が今俺の部屋にいる。太陽と昴も小学校からの腐れ縁だ。進行形で夏休みの計画を立てている。
「なら明日浴衣買いに行こーっと。‥‥あとマコとそれから‥‥」
と向葵が言いかけて少し淀む。
「ごめん、
と、俺の方を見て申し訳無さそうにする。まあ無理もないか。河野光咲、一年の時に同じクラスだった。俺の初恋相手でもある。結果をいえば見事玉砕、それ以来顔を合わせるのも気まずい。向葵は今も同じクラスで仲が良いが、俺に気を遣ってくれたのだろう。
「じゃ、決まりだね。相田さんへの連絡は向葵に任せた。」
「向葵!当日寝坊とか無しだからな!」
「うるさいなー!もう子供じゃないんだからね!」
こうして夏休み最初の予定が決まり、本日は解散となった。
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