裸足

御坂 巴

裸足

何でもない日の昼下がりに

物であふれた部屋を抜け出して

裸足で外に出かけよう

手には何も持たないで

お気に入りの服で出かけよう

雨が降っていても気にしないで

泥だらけで歩いていこう


いつも見てきた街を通り過ぎ

誰もいない草原を見つけよう

そして何も考えずに走りだす

踏みしめる草の感触を

頬に触れる風の冷たさを

高鳴る心臓の苦しさを

広がる世界の広さを

目に染みる太陽のまばゆさを

誰にも邪魔されず

自分だけで感じよう


疲れたらその場で横になって

しっとりと濡れた草の上で眠ろう

見上げた先の雲は

きっと思うほど遠くない

誰もが何もかもが

この手の届く距離にある


起き上がって周りを見れば

まだまだ草原は続いている

そしたらまた走りだそう

何も考えずに

感じるままを受け止めて

裸足でずっと駆けていこう

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裸足 御坂 巴 @Tomoe_Misaka

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