げんだいじんに警鐘~選挙の意義について再考する~ 1893

一筆書き推敲無し太郎

第1話

選挙に行きますか?これほど成人をなめている言葉はない。権利を履行しない成人を軽蔑しているまである。行使できない合理的な理由があればその限りではない。さて、自由権を得た過去の偉人の偉業は現代にはどう活用されているのか、検討していく。


選挙を行った方なら判然とするだろうが政党と支持者の名を書くのみというのは民意の反映に一助するのだろうか?と常々感じている。Z党のA氏の公約のこの部分に共感するが、Z党の掲げている政策のこの部分には賛同しかねるという問題がある。ここで一般的な解答は被選挙権を得て政党を作ればよいという意見であろう。「無理」であろうという本質を無視しているが。そもそも有権者なのに、権利を行使しないというのは甚だ遺憾である。


一例を紹介する。選挙が近づくと大抵は以下のような二択に近い質問項目で構成される政党マッチングのような質問群だ。或る程度、ああ、このようなものが存在するな、程度にとどめていただけたら幸甚だ。


経済政策:財政出動と増税について

 ― あなたは景気回復や格差是正のために、政府の支出を拡大すべきだと思いますか、それとも財政健全化を優先して増税や歳出削減を行うべきだと思いますか。


社会保障制度:年金・医療・介護の持続性

 ― 少子高齢化が進む中で、年金や医療、介護を維持するために給付水準を下げるべきか、あるいは現役世代の負担増や税金投入を拡大して維持すべきだと思いますか。


消費税の具体的見直し

 ― あなたは消費税率を引き上げて社会保障の安定財源とすべきだと思いますか、それとも引き下げや廃止によって家計負担を軽減すべきだと思いますか。


外交・安全保障:防衛力の強化について

 ― あなたは防衛費の増額と軍事力強化を支持しますか、それとも外交努力や国際協調を重視して軍事拡大には慎重であるべきだと思いますか。


原発・エネルギー政策

 ― 脱炭素社会の実現に向けて、原子力発電を再稼働・推進すべきだと思いますか、それとも再生可能エネルギー中心にすべきだと思いますか。


教育政策と子育て支援

 ― 教育・保育に対する公的支出を拡大し、無償化や支援を拡充すべきだと思いますか、それとも自己責任を重視して現行水準を維持すべきだと思いますか。


地方創生と東京一極集中

 ― あなたは地方への企業移転や公共投資による地方活性化を強く進めるべきだと思いますか、それとも市場原理を尊重して都市部集中を容認すべきだと思いますか。


憲法改正(特に9条)について

 ― あなたは憲法を改正して自衛隊の存在を明記すべきだと思いますか、それとも現行憲法を維持すべきだと思いますか。


ジェンダー平等と多様性政策

 ― あなたは同性婚の法制化や選択的夫婦別姓を推進すべきだと思いますか、それとも家族制度の伝統を重視して慎重に進めるべきだと思いますか。


外国人労働者・移民政策

 ― 労働力不足に対応するために外国人労働者や移民の受け入れを拡大すべきだと思いますか、それとも文化的・社会的負担を考慮して制限すべきだと思いますか。


さあ、見覚えがあっただろうか。これに共感するなら丸をつけ、バツを示す。ものによっては5段階程度の当てはまり度を用意している場合もある。


仮に全てを丸だとする。そんな政党はあるか?仮に交差して○×とする。その政党もあるのか?

そもそも全く同じ思想で構成された貴公にとって夢のような政党はあるのか?

恐らくない。なぜなら、価値観が多様化しすぎているからだ。公約の一部に賛成しているから投票する事が正しいのか?比較的自分の思想にマッチしているから投票する事が正義なのか?

私が述べたいのは現在の選挙システムに「民意」はあるのだろうかということだ。

私は公約Aに強く共感して投票するが、公約Bが推進されることに違和感を覚える。であったり、公約Cがより良いを追求するものだと過信して公約Dとの相性を考えていないとか。

公約Eが私の思想に最適だが、世間的には話題性に乏しいので当選後、鳴りを潜めるなど。

公約Fは世間的バッシングの対象だが、私にはそれが必要だと考える根拠があるなど。

公約や政策絶対主義ではないが、投票行動の対象にはなり得るだろう。判断材料でもあるのだ。

自身はどんな思想をしているのだろうかと知る機会は日常であるだろうか。選挙に傾倒する人間を批判視している人間がいること、大多数なことは承知だ。ご法度だと。野球・政治・宗教には触れずにという不文律があることすらも。しかし、情報が溢れるこの現代社会をどう利用するかがげんだいじんには求められるべきだ。

民意のまず原初。自身の思想を固めてみてはいかがだろうか。

その契機になるのが政党マッチングの系譜なのだ。

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