第12話 ポスト・アポカリプス2 2031年


 ち、と舌打ちして隆美は手近な闇に隠れる。


『奴』の味方になった人間の姿を、見出したのだ。


 どんな気持ちで人殺しの元にいるかは分からないが、そいつらは明確な『敵』だ。

 向こうも同様だろう。


 弱味でも握られたか、それともそもそもが異常なのか、敵は泣き叫ぶ幼い子供達を容赦なく捕まえ、トラックの荷台に取り付けてある檻に、入れている。


 ──あいつらは何とも思わないのか?


 子供達の悲痛な声に飛び出し掛ける隆美だが、何とか自制する。捕らわれた少年少女達の運命が、死のみであると理解しながら。


 彼の勝手な行動は彼と仲間達に破滅を呼ぶ。


 そもそも『奴』を見つけて殺さないと、意味がない。不可能な望みとは思っていた。夢物語とも思っていた。


 ──だが……。


 そうじゃないかもしれない。

 隆美の胸に一人の少女、駅前で殺されていた美しい少女の姿が蘇る。


 彼は歯を食いしばりながら、裏切り者達が去るまで潜み続けた。


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