第7話・完結

「――店長。言い値でっていっていたから吹っかけてみたんですけど、きっちり払っていかれましたよ」


 客と入れ替わるように店内に戻ってきた男性に、店員の若い女性が声をかける。

 店長は扉の外に目を向けた。


「そうだろうね」

「向日葵が必要だったみたいですけど、今回は花言葉は関係ないんですよね?」

「彼の思い出の問題だからね。そして、贈りたい相手の問題でもある」


 そう応えて、店長はにこりと笑った。


「君が花言葉を持ち出さなくてよかったよ」

「店長ほどじゃなくても空気を読むことはできるんですよぉ」

「はは。君は彼と同じで一言多い傾向があるからね」


 声を立てて笑って、店長は店の奥に向かう。


「一言多いってなんですかっ!」


 店員はむっとして返して、店長の後ろをついていくように店の奥に消えた。


《終わり》

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