第6話

 アイスティーを飲み終えたタイミングで、彼女がカートにケーキの箱を載せて現れた。


「このような形になりましたが、いかがでしょう?」


 テーブルに慎重に箱を置いて、彼女は箱の上部を開けてくれる。

 覗き込むと、さっき見たままの向日葵が入っていた。


「え、切ってあるのか、これで」

「はい。四等分です。中にスポンジケーキを詰めましたので、重い荷物になりますが」

「すごいな……」

「保冷剤も同梱しているので、二時間……この暑さだと一時間くらいは保つかと。デリケートな商品なので、乱暴にしないでくださいね」

「蹴ったりは絶対にしない。感謝する」


 俺は立ち上がって深々と頭を下げた。


「私は運んだだけなので。お礼なら店長に」


 店長にとの言葉を聞いて、俺は頭を上げた。


「あの男性がこれを作っているのか……絵も上手かったもんな」

「手先は器用な人ですよ。味も自信があるので、ぜひ楽しんでください」

「ああ。――会計、頼めるか?」

「はい」


 ケーキの箱の上部をきちんと閉めて、俺は会計に進むのだった。

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