第8話
オーダーメイド 第008話 愛知
坂本少年は退院の目途を立てていなかった。
特別支援学校に通うより
刺激的で自己を高める気がした。
1病棟のOTさんが歌詞の感想をのべてくれた。
「ううん、何と言うか感動の一言だった。
私達の活動の全てが凝縮されているよね。
色々な生活の一部を切り取ってみて下さい」
茶髪。お団子ヘア。眼鏡。不織布マスク。
シンプルなデザインの服装。
坂本少年の嗜好に合うスタイルで
1病棟のOTは業務に専念した。
坂本少年には心不全症状の気があったが、
閉鎖病棟の外にあるベンチに腰掛けて
スマートフォンを操作する時間を提案して貰った。
外出可能は生活区分5MAX特典だ。
早速、坂本少年は外のベンチに座って
DONALD MUSICを起動してみる。
懐かしい手応えに嗚咽が漏れる予感がした。
入院生活の唯一のデメリットは
スマートフォンが触れないことだと思っていた。
生活区分5MAXの有効時間は1日20分だが
20分あれば3曲は作成できる。
しかし、彼は或る悲劇と直面していた。
外気温が高過ぎたのだ。
自律神経失調症の弊害が作動し始めた。
多汗症がとても気持悪く
1曲作っただけでギブアップ……。
冷房ガンガンの閉鎖病棟に逃げ帰って来た。
自律神経失調症は形を潜めていた。
どうしよう、明日も外出すべきかな?
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