第6話

オーダーメイド 第006話 愛知


坂本少年は心不全症状のために見学だったが

エクササイズというプログラムは

とても有意義だった。最新の音楽が聴ける。


PTA,BBBB,あざといだけじゃダメですか?

世良世良、流行りの音楽に合わせて

筋力UP,脂肪燃焼のプログラムが進む、進む。


BBBBのキックボクシング・エクササイズが

坂本少年のお気に入りになった。

心不全症状が悪化しないように

なぞるように四肢を動かせてみせた。


1病棟のOTは、坂本少年の純真無垢を認めていたが

向こうは高校生、こちらは家庭持ちという状況から

好意と呼べる感情を無効とし

後遺症のような引き摺り思慕が歯痒かった。


1病棟のOTは、徐々に坂本少年が

方言混じりで話し出したことを嬉しく思った。

彼は遠慮や緊張の中で

標準語で話してしまう距離感を演出していた。

「OTさん、僕は世界一の作曲家になるきに」

「成れるよ、君の音楽はとても素敵だもの」

「漢字がわからなかったけど、

 とちゅうまで書いた歌詞があるぜよ」

「うんうん、テーマは何なの?」

「サギョウリョウホウシのうた」

「作業療法士の歌なんだね」

「今から書いてみるぎに。識字の練習」


坂本少年はそうTWEETすると

フリーOTのプリントの裏側に

ひらがな、カタカナ混じりの歌詞を書き始めた。

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