第5話

オーダーメイド 第005話 愛知


坂本少年の入院記は、現在なのか過去なのか

伝えられる情報があれば追記していく。

坂本少年は割と入院が性に合っていたが

DONALD MUSICは院内持込禁止の

スマートフォンアプリケーションなので

最大で90日間作曲に携われないことは

少なからず、実家が恋しい原動力になった。


DONALD MUSIC不在の入院生活で

頼りになるのは鼻歌だ。

どんなにさえずってみても記録を持ち帰れないと

TWEETした意味がないのだが、果たして……?

TWEET=さえずる、つぶやく


トキトキ音楽よりもトキントキン音楽を。

トキトキ=鋭利な トキントキン=より鋭利な

坂本少年の好みな音楽は先端鋭利。

やさしさを否定するようなスタンスだが

CRUNK PUNK

RUSSIAN GRUNGE辺りが

彼の音楽性と呼応する。

CRUNK=CRAZY+DRUNK

RUSSIAN=ロシア発祥の

GRUNGE=うるさい、雑音


坂本少年は識字が苦手でも、音符は読めるので

積極的にプリントの裏に五線譜を引いて

音符並べに興じることにした。

アカシア病院には治療プログラムには

フリーOTという時間が設けられており

坂本少年は規則正しい生活を送りながら

OTルームが開放される時間を指折り数えた。

彼は環境が変わったとしても

音楽一途の人生をたどった。

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