キツネの神様と三つのお願い一私を溺愛する神様が私の一生と引き換えに願い事を三つ叶えてくれるらしいです一
クラウン
プロローグ 八百万の神々のいる世界
この世界には八百万の神々が存在すると口を揃えて皆が言う。
物にも、土地にも、神様が宿っているのだと。
だけど、果たしてそれを本当のことだとこの令和の時代になっても尚知っている人間はどれだけいるのだろうか。
宗教的にそう唱えられてるからとか、お祖母ちゃんが言っていたからとかそういう口先三寸だけの話にこれは留まらない。
実際に神様というのは存在する。
知っているのは、国の上層部とかそういう偉い人たちと、あとは、神様が求める霊力を持った一部の血筋の人間だけだ。
だけど今の神様は昔のようにただ奉られているだけ、というのは少なくなった。
というのも神様もそれだけでは食べていけなくなってきたからだ。
神というのは信仰されればされるほどにその力、霊力を強める性質を持つ。
昔は奉られ、村を上げての祭りが行われ、それだけで充分な程に自身の力を保持出来ていた、でも神を崇める人間の減少した今のご時世そうはいかない。
自身の力を保つには、より、霊力の強いものを側に起き、自身を信じる者達に自身の存在を定期的に誇示しなければいけなくなった。
そのために力を保つためにと国の上層部に所属する者もいれば自身を奉ることを条件に加護を与えるとして大企業のバックに付く者もいる。
中には希にではあるが自身が表だって大きな企業を起こした神も存在する。
本来目立つことを好まない神という存在としてはとても異質なことではあるが。
そして高位の神様に気に入られた企業や御家は将来安泰。
その神様が気代わりしない間はその財や家督に困ることはない。
だからこそ、この世界では密やかに行われる人身御供のようなものが消えて無くなることはない。
そんな世界で私は、狐の神様に嫁ぐ。
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