第3話 ぱっちん

「こんにちは……あれえ、ばあば、じいじはいないの? 」

「あら、そうちゃん、いらっしゃい。じいじはね、もう少ししたらかえってくるよ。じいじがね、ぱっちんのれんしゅうをしておきなさいって、いってたよ」

「うん、わかった」


 じいじがよういしてくれている、まるいかたちのぱっちんは、五まいだ。四まいをたたみにおいた。のこった一まいをばちんっとたたみにあてて、かぜでひっくりかえす。うまくひっくりかえすことができた分が、じぶんのものになる。


「おっ、そうちゃん、やってるなあ。」

「あっ、じいじ、おかえり。ぼく、れんしゅうしてたんだ」

「ほう、そうか、そうか。じゃあ、じいじとしょうぶだな」


 ……


「やっぱり、じいじは、つよいや。ぼくのまけだね」

「はっ、はっ、はっ……どうだあ、まいったかあ」

「うん、まいったよ。じいじ、ぱっちん、いっぱいもってるんだね」

「じいじがそうちゃんくらいのころにな、ぱっちんがはやったんだ。みんなであつまって、あそんだんだ。ぱっちんをすると、そのときの友だちのことをおもいだすよ……むちゅうになりすぎて、くらくなるまであそんだもんだから、かえったら、おっかあにいっぱいおこられたよ……」

「じいじもおこられたんだね」

「ああ、おこられたな……」


 ばあばとおかあさんが、なにかをはなしながら、はんかちで目をふいている。なにをはなしてるんだろうな……。

 

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