【中学生×哲学!】騙る少女と語る少年、ふたりの出会いが生み出すものは?

 この世のすべてが“にせもの”と信じる中学2年生、スズ。いい人を騙るため風紀委員を買って出、役割を演じてきたのだが……ある日、歩き読書をする少年を見つけてしまう。注意しても反省しない彼と言い合うと、最後にとんでもない返事が返ってきて、打ち据えられて。それこそが不登校から復帰した問題児で、相棒となるケイとの出会いだった。

 痛ましさすら伴うスズさんのひねくれ具合が最高! これです。これこそが「中二」ってやつですよ。容赦ない筆で剥き出される主人公の有様だけでも悶絶必至ですけれども、さらに彼女は相棒と出会ってしまうのですね。別ベクトルで中二全開のケイくんと。

 そこからニヒリズムという暗黒面に迷い込むスズさん、綴られる物語もまた嘲笑と詭弁に満ち満ちた悲喜劇に――と思いきや、暗いトンネルの向こうへ突き抜けたかのような清々しい青春劇へと集約していくのです。いや、この構成力とストーリー性には打ちのめされましたよ!

 迷って悩んで苦しんで辿り着くカタルシス、ひと言で表せば極上です。


(「中学生×○○!」4選/文=髙橋剛)