第5話

【残り 4,354 人】


ウィルは震えていた。

手に握る武器は鉛のように重く感じられた。

汗が顔を伝い、目は見開かれ、息は荒く途切れ途切れだった。


「だ、だめだ…ありえない…」

震えながら言葉を詰まらせ、吸血鬼や仲間、あらゆる逃げ道を探した。

「これは…不可能だ! これは悪夢だ!」


彼はヒステリックに叫び、声は部屋中で割れるガラスのように響いた。

耳を塞ぐ生徒もいれば、ただ泣きながらその場に立ち尽くす者もいた。


長髪の吸血鬼はため息をつき、疲れたように手を顔にあてた。


「落ち着けと言ったはずだが…どうやら聞いていなかったようだな。」


次の瞬間、彼は人間の目では追えない速さで突進した。

片手でウィルの頭を掴み、力を入れずにねじる。

乾いた骨の折れる音が部屋中に響いた。


生徒たちの悲鳴が一斉に上がった――しかしすぐに恐怖にかき消される。

ウィルの頭は残酷に引き裂かれ、体は力なく床に崩れ落ちた。


床は血で濡れそぼった。


数秒間、滴る血の音だけが部屋に響いた。

全員が凍りつく。

抑えたすすり泣き、押し殺した嗚咽。

恐怖が濃密で、息をするのも困難だった。


吸血鬼は血まみれのウィルの頭を掲げ、未完成の芸術作品でも鑑賞するかのように見つめた。

そして、ただ床に落とした。


「見ろ…私にこれをさせたのは誰だ。」

冷たく苛立った声が響く。

「さあ、やり直そう。この教室で二番目に優秀な生徒は誰だ?」


沈黙は凶器のように重い。誰も答えられなかった。


やがて、後方に座る痩せた少年が静かに手を挙げた。


「私です。」

ためらいなく、力強い声で言う。

「二番目に優秀です。」


彼は立ち上がり、前に歩み出て床に落ちた武器を手に取る。

武器はまだウィルの血で染まっていた。

少年は吸血鬼を見つめ、不気味なほど落ち着いた口調で尋ねた。


「では、五人を殺せばいいんですね?」


吸血鬼は眉を上げ、満足そうに笑った。

「ああ。」


少年は迷わず銃口を向け、引き金を引く。


BANG. BANG. BANG. BANG. BANG.


五発。

教室のあちこちで五つの体が崩れ落ちた。

ほとんど反応する時間もなかった。


沈黙が戻る。

今度は、かすかな生存者の叫びだけが響く。


吸血鬼は首を傾げ、興味深げに見つめた。

「なぜ、正確にその五人を選んだのか?」


少年は額の汗を袖で拭い、声色を変えずに答える。

「私より下の五人だからです。弱く、役に立たない。」


吸血鬼は笑い、ゆっくりと拍手を始めた。

「ブラボー、ブラボー!」

目は喜びに輝いていた。

「決意があり、強い。それが正しい。」


さらに近づく。

「名前は?」


「カミです。」


吸血鬼はその名を口にし、一音一音を味わうように繰り返す。

「カミ…興味深い名前だ。さて、カミ、この武器は今やお前のもの。ゲームは始まった。あとは好きにしろ。」


その瞬間、教室は恐怖に包まれ、混乱が爆発した。

走り出す者、出口に向かって叫ぶ者、無秩序な騒ぎに支配される。


だがカミは冷たい決意の眼差しで武器を掲げた。

「出るなら撃つ。」


全員が再び凍りつく。


少年は片目で笑った。

「私は最初に出る。残りは……互いに殺し合え。」


武器をズボンの腰に収め、悠然と教室を横切る。

扉を抜けた瞬間、廊下で消えたかのように見えなくなる。


吸血鬼は隅に寄りかかり、喜びを噛みしめるように観察していた。

人間の苦しみこそ、この世で最も美しい音楽のように笑い声を響かせる。


混沌が支配する。

生徒たちは押し合い、絶望から互いに殴り合い、逃げようと這いずる者もいた。秩序は消えた。


クリスタルは混乱の中でつまずき、床に倒れた。

涙で濡れた顔、震える体。

顔を上げると、目の前に地獄の始まりが広がっていた。


仲間同士が襲い合い、叫び声が響き、血が飛び散る。

ゲームは本当に始まったのだ。


【残り 4,348 人】

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