AIと人間の関係を考えさせる、極上のサイバーエンタメ

仮想空間に飛び込む没入感がすごい。インターネットの「中」の世界を五感で体験させるような臨場感、いったいこの想像力はどこから湧いてくるのだろう。
取り囲む白いモニター、暗号で埋め尽くされた世界、異次元のようなその空間は、もとは人間が創り出したものだ。でも皮肉なことにそれに弄ばれるのも人間自身である。
そのトラブルを解決するアキトの相棒はAIのメメ。現実世界のドローン型の機械が仮想空間で少年の姿に変わったとき、それはあたかも血の通った人間のような錯覚を起こさせる。事件を処理していく中で、アキトと同化するようにメメへの愛情を感じ始めてしまう読者は、終盤にかけての展開に思わず唸ってしまうことだろう。
ネットを舞台にしたパニックコメディでありながら、現実問題としてのAIと人間との関係も考えさせる。時代を先取りする極上のサイバーエンタメです。

その他のおすすめレビュー

柊圭介さんの他のおすすめレビュー1,706