復讐の後に残るのは虚無だと書く作家さんはわりと多い。
それは復讐者が復讐を人生の最終目標に据えて駆け抜けるからだ。
それはさながら恋愛の最終目標を結婚に設定するのに似ている。
しかし人生はそこで終わらない。当人が死ぬまで人生は続くのだから。
復讐を終えた後の人生を、結婚後の家族を
改めて見据えなければ人生が破綻するのも当然というものである。
復讐が燃やし尽くした後に残るのは虚無ではないのだ。
焼き畑によって残された広大な肥沃の大地なのだ。
主人公は作中の時間ではおそらく気づかないだろう。
だがそれでもいつか気付き、立ち上がるのだ。
目の前に広がる人生という大地を自分が踏みしめて歩き出せる事に。