第2話 急ぐ必要無かった

 僕は街道を小走りで進んでいる。

「お腹が減った! お金は有っても町に着くまで何も食べれない…」

 握り締めた小さな革袋に、本当に金貨100枚入って居るのか不安になって来た。


 革袋を広げて中を覗いて見た。

「なんだ? 空じゃ無いか?」

 覗いても何も見えない、手を入れて見た。

「あれ? 小さな革袋なのに底が無い? 手が何処までも入るぞ!」


 突然脳内に、革袋の中に有る物が表示された。

「えぇ? 金貨100枚に銀貨1000枚? 大水筒2本、乾パン100食、干し肉100食、ぶどう酒100本、着火道具、鍋大中小、フライパン大中小、食器ボックス、ハリスの真剣、ハリスの木剣、傷薬50本、特傷薬3本、回復薬50本、特回復薬3本、身分証明書、野営マント」


(物凄い内容量だ、これって国宝の無限収納革袋じゃ無いか?)

「貰って大丈夫なのかな? 国王様、大臣にどんな指示したのか? 指示を受けた大臣が何か勘違いか聞き間違いした? 王都追放の僕に間違いだ返せなんて今更連絡しようが無いだろう……気にしないで貰って置こう、でもおおぴらには使え無いぞ、近くの町に着いたら普通の背納を買おう」


 食べ物が有るなら、急ぐ必要無いし王都は出てる、のんびりしても全く問題無いだろう。


「日が暮れる、街道反れて野営しよう」




「この辺り、街道から見えないだろうが、焚き火すると灯りは見えるだろうか?」


 煮炊きする訳でもないし、寒くも無い。

「焚き火は不要だ」


 革袋に手を入れて。

「乾パン1食、干し肉1食、ぶどう酒1本……おぅ! 出た!!」


 ぶどう酒はらっぱ飲みした『食器ボックス』調べればコップくらい有るだろうが面倒だ「旨い!」酒精の弱い甘口のぶどう酒、ガブガブ飲める。


 乾パンもしゃもしゃ、干し肉かじかじ「これで一食分?」僕は特別少食って訳じゃない、それが半分も食べれず腹いっぱい、ぶどう酒も半分飲んで飲めなくなった。

「一食分多過ぎだろ!」


 残りを収納して、大切な革袋は上着の隠しポケットに入れ、一応回りに枯れ木をばら蒔き、何か近付いたら音がするようにして、野営マントを取り出し上に掛けてごろ寝した。


 僕は図太い性格じゃ無いが、疲れて居たのか即夢の中だ。


 真夜中尿意で目が覚めたが、離れた所で飛ばし横になると即眠れた。

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