いい歳してさぁ。の呪縛

一筆書き推敲無し太郎

第1話

いい歳してさぁ。この言葉は私の人生の重圧だ。

いい歳の定義から始めようか。30代とすると私に該当しないので40代とする。

40代が40代らしくないからこの重圧は機能すると見込んで、私に投げかけられるのだろう?

では次に40代らしいとはなにか。経験や落ち着きの所作、重要職のポストや家庭を持っていることだろうか。確かに同僚はそうだが、私はこのようなことを言いたいのではない。

40代らしさってのは若い人が好むことを敬遠すること、ってことだ。

若い人が好むことが好きなんだ私は。例えば、流行りのグミを食べたり、音楽フェスに行ったり、インスタ映えスポットに行くことだったりだ。

少し前まではお若いんですねって言ってくれてたじゃないか。

いい歳してさぁってのは何年前から思われていたのだ。見当がつかない。

40代でもグミ食べてもいいだろう、新作が出るたびにチェックして個人的な点数をつけるのが楽しみでも。

音楽フェスに行って、聞いたことのないジャンル、流行りのジャンルを見聞きして、ビールを流し込んだって。

インスタ映えスポットは普通に私がお洒落だと感じた所にしか行っていないぞ。

その度に言われるのだ。妻に。いい歳してさぁ。と。

趣味を否定するのは何事だと一蹴するが、自室に戻るととても悲しくなるのだ。

好きな事だ。迷惑がかかるものではない。ただ、私がいい歳しているだけだ。

同僚と一緒にグミだって食べているし、音楽フェスに後輩が居て仲良くなったこともある。

インスタ映えスポットを知っているというだけで若手と仕事を展開したこともあるんだ。

なにがいい歳してさぁ。だ。仕事が円滑になっているじゃないか。

グミニケーションって造語があるだろう。それだよ。それ。

タバコミュニケーションよりも健康的じゃないか。

いい歳していてもやりたいことが一貫しているだけじゃないか。

そんなに私を否定しないでくれよ。世間。

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