式神!?演劇班
弥生今花
序章 謎のメールと私たち。
「結衣、そっち倒してっと、私はコイツを仕留めて…。」
目の前にでっかい怪物が現れた。結衣が他のザコ敵を倒してくれている。
「よし、あと一発っ!」
「せーのっ!ラスト!いっけぇぇぇえ!!」
二人でラスボスを倒した。
「やったね、奥にお宝が…。」
ぺちぺちぺちぺち
誰かが私のほぺったを力みがちにはたいている。
「めいり、起きてっ!めいりっ!!おーきーてー!」
私のタイセツな睡眠時間を…。
「いやぁ、まだねるぅ。宝物ぉぉ。」
ゴロンと寝返りを打ったら結衣の魔法の指たちによるコチョコチョコウゲキ。
「ひゃいっ、あははh、はっは、は、ひゃぁぁ、やめてぇぇ。」
ゴチンッ。頭から床に落下のあとの、ほっぺたムニムニ。
「あ、痛たた」
「じゃ、早く起きろ。」
隣を見れば、オニの形相をした幼馴染、東雲結衣がこちらをにらんでいた。
私のほっぺをムニムニしながら怒っている超絶美人さん。
「睡眠妨害!睡眠妨害反対!私は授業が終わって疲れたから寝てただけだもん。
で、ここ何処だっけ。」
今日は授業が早く終わる日だったんだよね。ラッキー!
「いや、今もう、4時だけど。ウチの家だよッ!一緒に帰ってきたじゃん。
それに人の家で時間も忘れるくらい寝るなんていい根性してるねぇ。」
ん?今なんて言った?四時?そしたら私、1時から寝てるから…。
え、3,4時間寝てる!?
「結衣のばかぁぁ、こんなに寝たら夜寝れなくなっちゃうじゃん!!なんでもっと早く起こしてくれなかったの!!」
「あのねぇ、こっちは情けで起こしてあげてるんだよ?もっと感謝しなよ。
それに私はあんたのお母さんじゃないから、次はないからね。」
あきれ顔でそう言われた。
私は睡眠と読書だけが大好きな初等部6年、泉めいり。
隣にいるのがスポーツ万能、成績優秀、美人でどの点を取っても最強な東雲結衣。
結衣と私は保育園の時からずっと同じクラスで、その上、家も隣。極めつけに誕生日は全く同じ日づけ。まぁ私は夜で、結衣は朝なんだけどね。
「で、こんなに結衣が必死に私のことを起こすってことは何か事情があったんだよね?まさか何にもないのに起こすことはないよね?」
「ま、そりゃあそうでしょ、あんた起こすのめっちゃ大変なんだから。」
デスヨネー。結衣が意味もなく私のことを起こすわけない。
そして結衣は基本的には私に話しかけてこない。
でも、家が隣なこともあって毎日一緒に登校してるし、毎日一緒に遊んでるし、私のしょうもない話も結衣は聞いてくれる。ま、話した後に毎回、
「はぁ、それだけ?しょうもないね、ウチがもっと面白い話してあげるよ。」
と別の話しだすケド…。
「で、何があったの?」
「公立中学入学試験の結果、出てるよ。」
中学の入学試験…?そんなのあったっけ…?
「なんだっけ…?ソレ。」
「あのねぇ…。マジで馬鹿なの?小学生じゃん。ウチら。で、中学に行かなくちゃいけないでしょ?一週間前にやったでしょ?試験。」
「あー…ネ。…?」
「絶対わかってないよね…?まぁ、試験結果さっき先生から来たから確認しよ。」
そういってタブレットを立ち上げる結衣。
私が通ってるのはフツーの市立の学校。
先生に試験受けてみない?って言われて試し受けてみたっていうか、その公立の中高一貫の学校が、この辺の市全体の小学校六年生に試験をして、で、そこから受かった子たちが進学するらしい。
受からないと思って受けたからゼッタイに受からないと思ってる。
それに試験二日前に試験のことに気づいて、
結衣につきっきりで教えてもらったんだもん。
「まぁ、学年一ぐうたらでいつも寝てる結衣が受かってるなんて聞いたらみんなびっくりしそうだけどね。」
さらっとシンラツ…。ジジツなんだけどね…。
寝癖がぴよっとしたまま、私も自分のタブレットを立ち上げて、学校からのお知らせが来ているアプリを開く。
最近髪の毛を短くしたから寝癖がヤバい。
〈公立中学入学試験結果〉
という文字が浮かんだところで、結衣が
「せーのっ!!」と掛け声。
こういうは一緒にやりたい性格の人なんだよね。結衣って。
同時にタブレットの画面をタップ。
二人の並んだタブレットに映った文字は
〈合格おめでとうございます。〉のモジ。
「受かったってことだよネ?」
「タブンソウダヨネ。」
片言になる私と結衣。
「やったー!!!!/やったぁぁ!!」結衣と私の声が部屋全体に響く。
合格の文字をスクショして、しばらくふたりで幸せに浸っていると、
てろりんっ
と誰かからメッセージが来た。
どうやら、結衣も同じみたい…。
「え、誰からだろ…。」
「ね。」
結衣は返事がめんどくさい時、「ね。」しか言わないんだよね…。
メッセージを確認するためにアプリを開くと
モジバケしたメールをハッケン!
送り主は…。式神演劇班。
へ…?シキガミエンゲキハン?
まさかこのメッセージが私たち二人の運命を変えるとは思ってもみなかったのだ。
「モジバケしてるんだけど…。」
「ね。」
全部適当に流されるけど、結衣はモジバケしたメッセージを食い入るように見てる。
「ね、このモジバケしたのってどうやったら見れるのかな?」
「…。」
無言、返事がナイ。
「おーい、結衣―!」
すると、突然、結衣がこっちを向いて
「どーする!?ハッキングしちゃう?」
めっちゃ楽しそうなカオ…。
結衣は優等生っぽくふるまっているが実はこんな特技もある。
そして、そのハッキング能力は大人のハッカー達カオマケ…。
「結衣ってさ、そういうとこあるよね。」
呆れていると、
「なんか悪い?こういうのが一番楽しいんじゃん。」と満面の笑み。
「私、そういうの苦手だからね。」
「そーいえばそうだったね、めいりは理系ダメダメだもんね。」
くっ、これだからなんでもできるオジョーサマは…。
まぁ、ここまで毒舌なのは私に対してだけだけどね。
「はぁ、まぁいいよ。読めたら私にも教えてね。」
「はいはい」
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