第2話 ガンリとの約束
「少年。逃げるな。」
頭上の雲から降って来た、雲の目玉。
美少女ガンリ。
僕の周りをふわふわ飛びながら、
僕にまとわりつく。
すれ違う通行人は誰も気づかない。
『なんで誰も気づかないんだ。』
僕も見えないフリをしてまっすぐに歩こう。
もうすぐ家だ。
しかし、このままでは美少女ガンリは
家までついてきそうだ。振り切りたい。
用もないのにコンビニ入る。
ここでうまく逃げよう。
とりあえずパン売り場へ。
小さい子供が。
おつかいか?
棚の上の食パンをどうやら、とりたいらしい。
手が届かない。
僕が食パンをとってあげようとした瞬間。
一番上の棚がびよーんと棚ごと下になる。
あまりの一瞬の出来事だ。
小さい子供は目的の食パンを手にして
レジへ向かう。
「へえー。」
とりあえず、何事もなかったふりをして
僕はアイスのコーナーへ。
パピーを手に取りレジへ。
コンビニを出た。
アイスのパピーの袋をあける。
2個の内、1個を口にくわえた。
残りの1個をガンリに渡す。
美少女ガンリがふわふわ宙を浮きながら
「冷たくて美味しいな。」
通りすがりの人が一瞬、宙に浮くアイスを見て、ギョっとする。
しかし、みんな見てはいけないものを見た目で。
何もなかったようにそのまますれ違う。
『なんだ。この人間達。』
僕はなぜか、腹立たしかった。
ガンリがアイスのパピーをジュージュー絞って食べながら。
「少年。人間はそんなもんだ。私はいつも空から見ていたから知ってるぞ。」
「そんなものか?」
「そうだ。そんなもの。
だから私が見える人間も。
見えてないことにして、すれ違う。そうなると私は存在しないことになる。
こんなに美人の天空の姫ガンリ様なのに。」
「かわいそうだな。」
「そうか。そうか。少年。
同情するなら家に連れて行ってくれ。
しばらく地上で暮らしてみたい。」
「ガンリ。それは図々しいお願いだな。
僕は明日から学校がはじまる。
相手はできないぞ。」
「かまわない。それにこれはヒカルとの約束だ。」
「どうして僕の名前を?」
「お前が小4の夏に出会って約束したぞ。」
「約束?」
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