「偏頭痛の冷凍保存」という、ユニークなタイトルに惹かれました。口語新かなの短歌が、隆盛している昨今の風潮に、抗うかのような文語旧かなの、反骨精神あふれる作品です。1首1首、濃厚で鮮烈な幻想世界が生み出されていて、こころを激しく揺さぶられました。幻想性あふれる耽美的な短歌集。推し短歌1首。海底に波の攫ひし足場ごとセイレーンがゐて古傷をあく
母の言葉でしか語られないもの…その認識に押しつぶされた悲哀と抵抗を万葉の文法と郷愁の感じる風景で感じました。僕と似た視座を僕の嗅覚が感じました。よかったです。