白い真珠と黒真珠の生成と海底の魚。

月明かりが冴えざえとした夜の濱で
二人の童子が舞う。波の音を雅楽として
鞠と共に舞う。
 魂と魄とを珠として、白い童子と
黒い童子が軽やかに舞う。

嘗て、兄から聞いた、そんな話が脳裏に
浮かんでは又、海底に沈み込む。
異国の娘との許されざる恋路。手に手を
取って海へと漕ぎ出すも。

兄への想いと異国の娘への憎しみが、昏い
海の底へと誘うのだろうか。白い鞘と
黒い腕輪を形見に彼らの魂魄は廻る。
 丸い大きな月に照らされた夜の濱で、
白の童子と黒の童子は、くるくると舞い
踊る。
   黒蝶と阿古屋の幻想。

 只、哀しみと後悔を胸に鞠と共に舞う。


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