君と奏でる、6つの音を

オズ

第1話 当選

「ねえ!当たったよ!」

真凛はそう言いながらスマートフォンの画面を見せてきた。

そこには当選の2文字が書いてあった。


「当選?何か当たったの?」

私がそう言うと真凛は食い気味に答えた


「前に言ってたじゃん!未来に行けるチケットの抽選やってるって」


「未来?そんなの言ってたっけ?てか何それ、未来に行けるとか胡散臭くない?」


「遥知らないの?これ国がやってるんだよ?ちゃんとニュース見てよ!」


「まあ国がやってるなら安心できるか...まあ当選おめでとう」


「全然興味ないじゃん...まあいいや、それで当たったからさ、一緒に行こうよ!」


「え〜私はいいかな...一人で行ってくれば?」


「ダメだよ!これペアチケットだから2人じゃないといけないんだよ?行こうよ!」


「てかそれってどれくらい先の未来にどれだけいるの?」


「う〜ん行く先はだいたい100年後?で、期間は半年ぐらい?」


「半年?長すぎでしょ、私はいいよ。他の友達誘って行きなよ。」


「半年もいられるんだよ?最高じゃん!」

「それに私遥と行きたいし!」


「う〜ん...でもなぁ、私旅行嫌いだし...」


「遥は未来気にならないの?未来の音楽とかどうなってるかとか!」


「気になるは気になるけどさあ...」


「やった!決まりね!じゃあ日にちと場所送っとくから来てね!じゃあまたね!」


「ちょっと!行くって一言も言ってないんだけど!」


「あ!行く日までに自分の一番大切なものだけ決めといて!じゃあね!」

そう言うと真凛は帰ってしまった。


「聞いてないし...」


私の名前は星野遥。高校1年生でもう直ぐ2年生。

趣味はギターを弾くことで嫌いなものは大きな音。ちょっと矛盾してる気がするけど苦手なものは苦手。あ、あと人間関係も苦手。あんまり友達もいないし社交的にはどうしてもなれない。

さっき帰っちゃったのは高橋真凛。私と同じ高校1年生で幼馴染。真凛は私よりも明るくて友達も多いけど、こんな私と仲良くしてくれる数少ない人物。好奇心旺盛でちょっとミーハーっぽいところがある。


てゆうか半年も旅行するとか本当に行ってるの?ほぼ留学じゃん。私そんな長期間旅行するとか嫌なんだけどな...

まあ真凛が言ってた通り未来に興味がないことはないんだけど...

でも私が行かないって言ったら真凛悲しむよな...どうしよう

学校は半年くらい私がいなくても誰も気づかないかもなぁ。それはそれで悲しい感じがする。


そんなことを考えてると、家の扉が開いた。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る