風の行方

吹き抜ける風のすがたを見るために吾妻の峰を遠く見透かす


自由なる風をうらやむこの身には北の大地も遠のくばかり


限りなきあこがれを持ち見晴るかす銀河は暗き光を放つ


この河を流れる水も淀みなくやがて遥かな海へと注ぐ


川風を背中に受けて帰り来ぬわずかに残る過去の一コマ


無言にて吹き過ぎてゆく風を妬みもはや帰らぬ荒野を目指す


吹く風の心知らずやこの身持て生きとし生ける哀しみを知る


忘れいし言葉をふとも想い出でぬたそがれている帰路の半ばに


友の死を慈しむべし黄昏てわれにもやがて来るべき朝


ひたすらに求めしものは愛と夢 目隠し鬼さん未だ帰らず


帰るべき場所を失くしてさまよえる家なき子より貧しき存在


帰るべき場所を失くせし人々とわれも叫ばむ「ふるさとを返せ!」


ホトケ町 コメ町 テラ町 ダイク町 寺山修司 不在する町


ふるさとを捨てしかなしみひしひしと歳追うごとに募る夜もあり


ふるさとは近くて遠き時のはてに眠り続けて暁を見ず


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