「嘘だ!」と思いっきりいい切ってみたい人にお勧めのとんでもミステリー


 王都での政争に巻き込まれた聖女アリドアネがもつスキルは、嘘を見抜く力。だが、陰謀渦巻く王政の権謀術数の中にあって、その能力はあまりにも危険すぎた。罠にはめられ火あぶりに処させる聖女アリドアネ。だが、彼女につく精霊の皇子エルフィーノは死の直前アリドアネを救い出し、遠い世界に飛ばすのであった。……現代の鎌倉へ。

 本作はタナタラン王朝が治める異世界と現代の鎌倉のふたつのパートで構成されており、すなわち一粒で二度美味しい構造をしております。タナタラン王朝内での政争に巻き込まれ、火あぶりの刑に処させるアリドアネ。そこからいきなり鎌倉へ飛ばされて探偵に拾われ、嘘を見抜く能力を駆使して事件捜査に協力するアリドアネ。
 異世界でも鎌倉でも、相手の嘘を視ると「嘘です」と指摘せずにいられないその性格が災いして、物語はいつも面白い方向へと転がります。
 ああ、自分にも人の嘘を見抜く力が欲しいとか、嘘をついている人に思いっきり「嘘です」といい切ってみたいとか常日頃から思っているぼくなんかには、なんとも痛快でそのあとのドタバタも他人事としてとても楽しく読ませていただきました。
 本作はまだまだ続きが書かれるということなので、次回は本格的な推理劇とか密室トリックなんかをひそかに期待して待っています。

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