始まりの城の王様の受難 〜王も辛いよ〜

灰汁之権化

プロローグ

 ”未来の勇者来たれ!”、このおふれを出してからもう早3年。しかし、魔王討伐や魔王に連なる者を倒したというような成果を上げた勇者はおらず。始まりの城の王の評判は落ちるばかり。

 それも、ケチ王だの、税金無駄使い王だの、豚だと、ハゲだのひどい言われようなのである。(禿げてはいない、薄いだけ)


 このおふれを出したは王として一言、言わせてほしい事がある。この国には勇者(?)が多すぎる、一日中、勇者との顔合わせで時間を取られる王の身にもなってほしい。そして、こんなにもこの国には勇者がいたのかと驚かせる(嫌味)。こんなに勇者がいるなら魔王などビビってこの世界に降臨しないだろと思うが口には出さない。


 え?おふれを撤回すればいいのではないか?

そんな事出来るはずがない、ニセ勇者だとしても、道中出てくる魔物を退治してくれるだけで救われる命があるのだ。国民を守るためにも、わしはこの不毛な勇者面接を続けなければならないのだ。

 そんな事を理解してくれる民はおらず。わしの心象は悪くなる一方。ケチ王と言われようが、でくのぼうと言われようとわしはわしの職務を全うする。いつか誰かが成し遂げてくれるその日まで。


 ケチ王の由来はある勇者に支度金に50ゴルしか渡さなかった所からついたあだ名である。

 なぜ、そんな端金しか渡さないのか?それは面接の様子を見てもらえれば納得してもらえるであろう。


 おっと、次の勇者(?)が来たようじゃ。

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