うちの神様はうまく泣けない ~金平糖とかささぎの夏~
有沢楓花
第1話 たそかれ時の告白
「
長い時を生き、神と呼ばれるようになった
沈黙の間に花が散り、天頂から刷くように藍色が重なり空に塗り込められる。
ふたつの影を夜が呑み込んだ頃、和の目が慣れて見付けた微笑と滲む涙は、いつから浮かべられたものだったろうか。
「ひとつは、他の神によって死がもたらされたとき。もうひとつは、実在を信じる人々がいなくなった時。ですが、死より恐ろしいのは――」
そうして、庭に置いた水盤の上を揺らいでいた白く細く、そして和も知るせせらぎのように冷たい指先が、ようやく一点で止まる。
指の間に挟まっていた白い
「自我を失った荒ぶる神となり、人に記憶されることです」
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